2026年 ヨネックスレディスゴルフトーナメント

ツアー4組目の姉妹優勝だが「姉のコピーはしたくない」 吉田鈴が目指す「自分のブランドの確立」

2026年 ヨネックスレディスゴルフトーナメント 3日目 吉田鈴
最後の最後に笑った吉田鈴

◇国内女子◇ヨネックスレディスゴルフトーナメント 最終日(7日)◇ヨネックスCC(新潟)◇6483yd(パー72)◇晴れ(観衆2789人)

最終18番のウィニングパットは2mもなかった。2パットでも勝てた。それでも、吉田鈴はいつも通りラインを読み、バーディで初優勝を決めた。「思っていたより冷静でした。もっといろんな感情がこみあげてくるのかな、と思ってたんですが」。大ギャラリーを引き連れて回った3日間54ホールの208ストローク目を完了し、最後の最後にやっと笑った。

後続を3打リードして迎え、完全Vを目指した最終日。同組の政田夢乃中澤瑠来が3番までに2つ落とし、2人との差は5打に広がった。6番(パー5)で3パットボギーをしても、7番(パー3)でバウンスバックした。途中でリーダーボードがなく、自分の位置を確認できたのはハーフターンの時。3組前の倉林紅、1組前の木戸愛と通算7アンダーのトップで並んでいた。

「でも、私はスコアを落としてなかったので。いいプレーをしていけば大丈夫と思っていました」

2026年 ヨネックスレディスゴルフトーナメント 3日目 吉田鈴
「自分のブランド」を作りたい

勝負の大きな分かれ目は13番(パー5)でバーディを奪って8アンダーとした直後、14番(パー3)で訪れた。20mを超えるバーディトライが5mもオーバーした。パーパットのアドレスに入った時、ロープ越しにベビーカーがガシャンと倒れた。仕切り直し、見事に決めた。そんなクラッチパットにも笑わなかった。

「笑わないってよく言われますけど、一喜一憂したくないんです。普通の顔で敢えて(感情を)隠してプレーするのが、私のスタイルですから」

クールな勝負師の根っこは、育ち方にあるのかもしれない。いつも3歳上の姉・吉田優利が前にいた。JGAナショナルチームに入って、日本ジュニアに勝って…。「エリートですよね。周りからはよく“お姉ちゃんはこうだよね”とか言われて」。対する自分はジュニアで目立った実績もなく、プロテストは4度目でやっと合格した“雑草”だ。それでも「姉のコピーはしたくない。自分のブランドを確立することが大事だと、ずっと思ってきました」と心情を吐露した。

高校が別なら、コーチも違った。ジュニア時代からモニター提供を受けるクラブのメーカーも姉がブリヂストンなら、自分はキャロウェイ。日本で同じ試合に出る時も、基本的に練習ラウンドをともにしない。「反発心とかじゃない。ただ同じ体じゃないのに、同じスイングってどうなのか?同じことをしていたら、背中しか追えませんから」と理由を説明する。

2026年 ヨネックスレディスゴルフトーナメント 3日目 吉田鈴
姉と違う道を信じて歩む

「自分のブランド」を作る設計図は頭にある。何歳までに何をして、というプランを数段階にわけ、いくつものゴールから逆算してトレーニングや弾道測定器トラックマンの数値を求める。将来的な海外、メジャー挑戦はもちろん考えているが「具体的には言いたくないんです。口にするとプレッシャーになる。まずは日本で活躍しないといけないし」と苦笑いで口をつぐんだ。

この日のスタート前、同週開催のメジャー「全米女子オープン」3日目を終えたばかりの姉がメッセージを送ってくれた。「頑張れ!」の一言にスタンプを添えただけの内容に、吉田は「いつも通りだな」とクスクス笑う。姉はアマチュア18試合、プロ34試合の計52試合でツアー初優勝にたどり着いた。吉田は31試合と47試合の計78試合目。ペースは少し遅くても、信じて歩む道に迷いはない。(新潟県長岡市/加藤裕一)

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