「一打一打」の不動裕理と「勝ちたい」テレサ・ルー 前人未到の国内メジャー4冠王手の2人が予選通過
◇国内女子◇ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目(8日)◇茨城ゴルフ倶楽部西コース(茨城)◇6718yd(パー72)◇曇り(観衆4562人)
日本女子プロ選手権、日本女子オープン、JLPGAツアー選手権リコーカップ、そして本大会という国内メジャー4大会を全制覇した選手は1人もいない。連覇を狙う申ジエ(韓国)も国内メジャー3冠ながら、未勝利は日本女子オープンで本大会にチャンスはない。未踏の“グランドスラム”達成へ、本大会で挑戦権を持つ2人がともに週末に駒を進めた。
日本女子プロ2勝、日本女子オープン1勝、ツアー選手権2勝で、メジャー昇格前の2005年本大会覇者の不動裕理は通算3オーバー25位で、24年「北海道meijiカップ」以来約1年9カ月ぶりのツアー予選通過を決めた。「49歳206日」での決勝ラウンド進出は08年大会の塩谷育代(45歳347日)を更新する大会最年長記録。通算50勝の永久シード保持者は「メジャーのような難しいセッティングで予選通過できたことは素直にうれしいです」と話した。
1オーバー18位から出たこの日は、出だし1番でダブルボギーのピンチをチップインで切り抜け、流れをつかんだ。フェアウェイ右バンカーからレイアップしようとした2打目があごに当たって出ず、グリーン手前エッジから8ydの5打目を56度のウェッジで放り込んだ。「サンド(56度)で打てば良かったのに…」と50度を手にした2打目のミスを悔いつつも、グリーンを外せば“乗ったも同然”のライからでも必ず手にするウェッジで不動ならではの技術を披露。「ボギーですけどね」とこぼしつつ「チップインは気分いいですけど」と照れ笑いを浮かべた。
「ピン位置がすごくて難しく、私の飛距離では厳しい」というコースで2バーディ、4ボギー「74」にまとめた。「今日、25パットですよ? もうどれだけグリーンに乗ってないか…」とおどけつつ「今週はたまたまいいパット、いいショットがスコアにむすびついてくれた」と語る。ただ、12試合続いた予選落ちのときも調子は悪くなく「スコアだけが悪かった。内容は変わらないのに結果に差がある。その理由がわかればいいんですけどね」と首を傾げた。
49歳の大ベテランは現在のモチベーションが「結果ではない」と言う。「1打1打の内容。順位は悪くても自分が納得いくゴルフができればいい」と“求道者”としてツアーに向き合っている。
もう一人の偉業挑戦の有資格者はテレサ・ルー(台湾)だ。29位から3バーディ、3ボギー「72」で通算2オーバーを守って18位で大会を折り返した。
日本女子プロ1勝、日本女子オープン1勝、ツアー選手権2勝の38歳は、不動と対照的に「この試合だけじゃない。どんな試合も勝ちたいの」とギラギラ感を隠さない。24年9月に待望の長男・レオ君を出産した。昨季のツアー出場は“復帰戦”の日本女子オープン1試合だけだったが、今季は産休による特別保障制度によりシード選手として本格復帰。すでに6試合に出場している。
「女子ゴルフは出産したら終わりという考えは違う。やれる。できる。それを見せたい」。今季はレオ君をほぼ両親に任せて「全然ゴルフ」で勝負するつもりだ。横峯さくら、一ノ瀬優希、有村智恵ら“ママさんプロ”が増えた状況を喜びながら、17年ツアー選手権以来の17勝目を追い求める。
本大会でのグランドスラム達成の可能性は「ね~わ」と陽気な“テレサ語”で一笑に付しつつも「今日何パットと思う?」と不動同じ自虐ネタを自ら口にして「22パットよ。パーオン5回だけで、その中で3つバーディね」。ただ、今後のゴルフについては「問題はブランク(の解消)、試合勘。ショット、パット、メンタルとか全部をいかにまとめて一つにできるか」と語り、それさえできれば…と自信を漂わせる。
残り36ホールでトップとの差は不動が8打、テレサが7打。厳しい現状に違いないが、可能性…いや夢は確かに残っている。(茨城県つくばみらい市/加藤裕一)
<国内メジャー3冠達成者>※国内メジャー勝利数順
大迫たつ子、ト阿玉、森口祐子、不動裕理、申ジエ、肥後かおり、テレサ・ルー、塩谷育代、福嶋晃子、諸見里しのぶ