2025年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント

仲村果乃を初勝利に導いた通算29勝レジェンドの教え「つかみに行かない」

2025年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日 仲村果乃
仲村果乃は師匠に報いる初優勝を飾った

◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント最終日(2日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6690yd(パー72)◇曇り(観衆5641人)

10歳でゴルフを始めたとき、将来プロになるつもりはさらさらなかった。想いが少しずつ大きくなったのは中高生時代。同い年の山下美夢有には「1回だけ勝ったことがある。“交流”みたいな試合で、たしか2日間くらいの…」。ジュニアだった頃のタイ遠征の一コマが、メジャー覇者の記憶に残っているかは分からない。「でも、それがうれしくて」。たとえ小さくとも、そんな成功体験の一つひとつが仲村果乃を次のステージに導いた。

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテスト合格した2022年はキャリア4回目の挑戦だった。実は2回目の失敗時に「もうゴルフをやりたくないと泣きじゃくった」ことがある。絶望する心を優しく解きほぐしてくれたのは、ツアー通算29勝のレジェンド。高校時代から師事する吉川なよ子は当時、「落ちても死ぬわけじゃない」と語ったという。

2025年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日 仲村果乃
トップを小さくしたという

「そうか、死ぬわけちゃうからな」でリスタートしたゴルフ人生は今季、いよいよ華が開いた。5月の「パナソニックオープン」で3位に入り、7月の「ミネベアミツミレディス」から2試合連続で2位フィニッシュ。来季のシード確保が確実になっても貪欲だった。前週の「マスターズGCレディース」で予選落ちを喫した後、拠点にしている京都府内の練習場へ。気になっていたスイング中の大きすぎるトップを吉川に相談し、改造に取り組んだ。

「先生」には過去にも、変化を求めるのなら「大げさにやらないとダメだよ」と言われてきた。「自分の中ではハーフショットくらいのイメージ」にまでコンパクトに。3アンダーの17位だった初日こそガマンのプレーを強いられたが、週末に「67」「66」。佐久間朱莉をはじめとする年間ポイントレース(メルセデスランキング)上位との争いにも怯むことなく、後半15番(パー3)で9mのバーディパットを流し込んで勝負を決めた。

2025年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日 仲村果乃
シーズン終盤戦に待望の瞬間を迎えた

悲願だったツアー初勝利に「すごく長かったような、短かったような…。ホッとしました」と息を吐いた。終盤を堂々とプレーできたのも吉川の教えが大きい。「(勝利は)自分からつかみに行かないこと。前に出過ぎたらダメだよ。必ずやってくるから」。前夜のスマートフォンでのメッセージのやり取りで「きょうはすっきりして良かったよ」と、ほめられたのはウェアのこと。日曜日もシンプルなコーディネートと、プレーを心がけた。

2025年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日 仲村果乃
目指すは師匠超えの30勝!

夢は憧れの存在を超える通算30勝。大会の顔であるJLPGA顧問・樋口久子は吉川と同じ時代に活躍した。表彰式で仲村は「なよ子さんによろしく伝えておいて」と声をかけられたという。「(吉川は)29勝もしていてスゴイのに威張ることもなく、いつもみんな(生徒)と同じスタンス、同じ目線でいてくれるんです」。待ちに待った瞬間の後、師匠は電話口で泣いて喜んでくれていた。(埼玉県飯能市/桂川洋一)

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