「今のほうがやる気あります」産後2度目のツアー復帰を果たした一ノ瀬優希
◇国内女子◇KKT杯バンテリンレディスオープン 2日目(19日)◇熊本空港CC(熊本)◇6565yd(パー72)◇晴れ(観衆4141人)
通算3オーバーでアテストを終えた一ノ瀬優希は悔しそうだった。「2(オーバー)ならワンチャンあるって思ったんですけどね」。昨年5月の第二子(男児)出産後の復帰戦は、5日終了で2位になった下部ステップアップツアー「YANMAR HANSAKAレディース」だが、レギュラーツアーは今大会が初めて。カットラインは最終的に1オーバー。2打及ばない60位という結果に「予選通ったらカッコよかったのになあ」と嘆いた。
2007年プロテストに若林舞衣子、服部真夕らとともに合格。ツアー3勝後、31歳だった2019年9月に男子プロ谷口拓也と結婚し、同年のシード落ち(賞金ランク78位)を機にツアー本格参戦から撤退。20年10月に長女を出産後、最初の復帰は翌21年8月「NEC軽井沢72」(予選落ち)で今回が2度目になる。
前回と今回でゴルフへの思いは違うのだろうか?「うーん、違います。やる気は、今回の方があります」。違いは何なのか?「長女がゴルフをわかるようになったから」。最初の復帰後は物心つく前で、コースに連れてくると周囲の女性を見るたび「ママ!ママ!」と近づいて困った。今では4歳になり、一ノ瀬がゴルフから家に帰ると「ママ、1位になった?」と聞いてくる。
一ノ瀬が長女にいつも言って聞かせる言葉がある。「負けることはあるの。でもね、大事なのは“諦めずに最後まで頑張ること”なのよ」―。
この日、一ノ瀬は全く諦めなかった。イーブンパー30位から出て、1番でティショットがバンカーに捕まってボギー。しかし、2番ではグリーン奥カラーから6mのパーパットをねじ込んで連続ボギーを阻止。最終的に「75」とスコアを3つ落としたが、7ボギーに対して4バーディ、ナイスパーで抗い続けた。「 “まだまだ。ここで腐ったらやっている意味がない”と最後まで粘りました」と振り返った。
体調面は初産後より、2度目の出産の方が楽かと思えば、そうでもない。「ゴルフができるようになるまで、1人目の時は2カ月ほどだったけど、今回は3カ月ちょいかかったんです」。元々好きなゴルフだが、やるからには中途半端はできない。娘が、そのうち息子も自分をしっかり見るようになる。「今はステップアップが主戦場になるので、現在の目標はステップ優勝です」。36歳、2児の母は笑顔で迷わず断言した。(熊本県菊陽町/加藤裕一)