30代以上の女子プロペアマッチ 藤田さいき&青木瀬令奈が優勝
練習日から託児所、ポイント制導入…「LADY GO CUP」の進化とスピード感
◇ツアー外競技◇KURE LADY GO CUP 2024 ~Let's MOVE 30's~(11日)◇取手国際GC西コース(茨城県)◇3021yd(パー37)
表彰式を終えた直後、大会発起人である有村智恵と原江里菜の “企画会議”は始まっていた。「スクランブルでもいいと思う」「アリかもしれないね」。雑談の延長のようなやり取りが、実際に来月行われる2024年の第2戦(8月17日/栃木・セブンハンドレッドクラブ)に反映される可能性が十分にある。30歳以上の女子プロゴルファー対象のツアー外ワンデートーナメントは、そんなフットワークの軽さも大会の魅力を高める一因となっているかもしれない。
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今回、2024年最初の開催に当たってポイント制のステーブルフォード方式を導入した。イーグル5pt、バーディ3ptに対してボギーは0pt。ボギーまでならポイントを失うことがないフォーマットは各ペアのアグレッシブなプレーを引き出した。4月に双子の男の子を出産したばかりで、今回は解説として運営サイドに専念した有村が狙いを語る。
「レギュラーツアーに出ていた時にバーディ合戦になかなかついていけない自分自身の弱さというか、『攻めなきゃいけないよ』って言われた瞬間に切り替えられない感じがあった。『守ってください』と言われたら、いくらでも守れるんですけど。でも、最近は5アンダー6アンダーを出していかないとトップ10に入れないみたいなことも増えてきた。獲らなきゃいけないプレッシャーに対処する、いいきっかけになるかなと思ってやってみました」
パーでも1ptの扱いに検討の余地は…といった、選手としてプレーした原のリアルな感想は貴重なフィードバックでもある。1つのボールを交互に打つオルタネート方式は展開もスピーディになるが、9ホールだけなら、ティショットは全員が打つスクランブルも視野に入れる。
大会コンセプトの追求は競技方法にとどまらない。今回はChild Base株式会社によるゴルフ場での託児サービス「ママゴル」を活用して開催コースのクラブハウスに託児所を設けた。大会当日だけでなく、前日10日の練習日から稼働してもらうことで子どもがいる選手にとって試合へ連れていくハードルはグッと下がるという。前年までの参加選手から出た要望を反映した結果だ。
有村自身も2児の母として“当事者”になったことで、託児サービスの意義をより一層実感している。「『パパゴル』っていうのもあるみたい。お父さん同士で(託児サービスを)頼んで子どもをゴルフ場に連れていって、お母さんを休ませてあげる、みたいな」と笑顔で話し、大会との連携がサービスの認知度アップにもつながってほしいと願う。
クラブハウス内の託児所には、子どもたちの母親プロだけでなく、ほかの出場選手も頻繁に顔を出していた。原は「私、子どもが大好きなので。自分はまだ産んでないですけど、人様の子で癒されていました。最高です」と思わぬ効果もあった。
次回8月は有観客での開催を予定。選手はもちろん、ギャラリーも幸せになれる大会を目指して“進化”を続けていく。(茨城県つくばみらい市/亀山泰宏)