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永井花奈の日課とは? 1日5球の打点チェックで“ズレ”を日々修正

◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 事前情報(19日)◇ザ・クイーンズヒルGC(福岡)◇6540yd(パー72)

永井花奈の日課をご存じだろうか。バット素振りでもなく、片手打ちでもなく、左打ちでもない。打点シートをドライバーのヘッドに貼って、毎日5球必ず打点をチェックしているのだ。

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アマチュアゴルファーが練習場でシートを貼って打っているのを見かけることはあるが、プロツアーで“ソレ”を見かけることはほぼないから、思わず気になって本人に声を掛けた。永井が言うには、「試合後の練習では必ずやります」とルーティンワークになっている様子。5球の打痕を写真に撮って記録しては分析しているといい、永井の携帯には日々の“打点記録”がたまっていた。

プロだからといって毎度芯に当たるわけではない。「トウに当たる日もありますし、ヒールに当たる日もあります。もちろん上下のズレもある。基本は5球全部芯に当てたいですが、調子もあるし毎回そうもいかないんです。むしろ、芯に当てることよりも『ここに当たったかな』という自分の感覚と実際の打点が合うかどうかをチェックできるのが大事」とその練習の利点を説明する。つまり彼女がヒールに当たった感覚を持った時に、ちゃんとヒールヒットしていればそれはそれでOKということだ。

永井は続けて解説する。「フェードのキレがないと思った時に不安にもなりますが、打点をチェックして先っぽに当たっているのが分かると、(フェードが打ちにくいトウヒットで)打点が良くないんだなというのがわかって安心する。一方で(フェードが打ちやすい)ヒール側に当たっているのであれば『打点は悪くない』となって、迷いがひとつ消せます。それ以外の部分のアドレスが悪いのか、軌道が悪いのかという発想になって、すぐにアドレスをキャディさんたちにチェックしてもらえます。でもここで迷いが3つ(構え、軌道、打点)あると、どこから手をつけていいか分からないんです」

ドライバーの調子が悪かった日には、練習場に直行してその打点シートの5球から練習を始めるという。「特に1球目の打点位置が“いいデータ”で、試合に近い感覚が一番そこに出ます。『あ、やっぱりヒールに当たってミスしていたんだ』と分かることが多い」(永井)。自分の生データをすぐに採取でき、コースでのズレをすぐに修正できるわけだ。

永井は2年前にそれこそ予選落ちを繰り返し、シードも陥落、どん底を味わっていた。「その時は、ほんと14本のクラブのうち51度と58度のウェッジしかグリーン幅に収まらなかった」というほどショットは荒れていたという。

そこからとあるコーチの助けを借り、スイングのデータ、弾道のデータを取り、スイングもドローからフェードに変え、洗いざらい一からやり直した。「最後はチーピンが止まらなくなっていたんですが、なぜチーピンが出るのか、どうしたらチーピンが出ないような体の使い方になるのかを全部解説してもらって。数字的にもこうなっているからチーピンが出るというのを教えてもらったのは大きかった。今は自分の感覚と数字の裏付けがマッチしているので、ミスが出ても原因が分かる。ほんと、どうしていいか分からない状態から助けてもらいました」

昨年は優勝こそなかったもののトップ10に6回入り、見事シード復帰を果たした。その上でそのコーチに勧められたのが、ミスをセルフチェックできる日々の打点シート練習だった。「もともとミスショットにすごく感情を出すタイプだったんです。今思い返せば、理由が分からないから不安で怒りに変わっていただけなんでしょうね。ミスが理解できるようになれば、『あ、今のミスはやりたいことができてなかっただけだ』となる。それってすごく大きなことですよね」

実はこの練習には副産物もあって、意図的に打点を変えて打つこともできるようになったという。「例えば左が気持ち悪いようなホールで、絶対スライスさせたい時はヒールの方がかかりやすい。逆にあまりこすった球は打ちたくないなという時は、トウの方がつかまります。そうやってOBとか、入れたくないバンカーとかを逃げられるようになりました」

そんな話を聞いた翌日、プロアマ戦の後に練習場に現れた永井は、ドライバーにシートを貼って球を打っていた。その結果を見せてもらうと、芯にも当たっているがトウとヒールにやや散らばっていた。「左右(トウヒール)のズレは、おそらく(自身の癖でもある)お尻が前に出て詰まってしまったスイングの結果だと思います。でも上下の打点のズレがないというのは良くて、それは上体の軸の傾きがない証拠」と自己分析。

毎日やっているからこそ、打点のズレでスイングのズレが見えてくるのだろう。一度どん底を味わってきた選手は、やっぱりたくましい。(福岡県糸島市/服部謙二郎)

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