石川遼がコロナ禍の高校生ゴルファーのため全国大会を主催
「何を目標にしたら…」トップアマ梶谷翼は夢舞台中止から再び前へ
◇The “One” Junior Golf Tournament 初日(24日)◇横浜カントリークラブ西コース(神奈川)◇男子7207yd、女子6601(ともにパー71)
次に向けて頑張ればいい――。そんな簡単に割り切れるほど、大会に懸ける思いは軽くなかった。日本アマチュアランキング1位に立つ梶谷翼(兵庫・滝川第二高)は、出場権を得ていた「オーガスタナショナル女子アマチュア」中止をすぐには受け止められなかったという。
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「延期になった時点で、ある程度中止は覚悟していました。でも、実際になってみるとショックが大きかった。正直、すぐに『来年頑張ろう』とはなれなかったです。すごく楽しみにしていたので、何を目標にしたらいいか分からなくなりました」
2020年大会に招待を受けた選手は、アマチュア資格を継続していれば2021年大会に参加できるとされているが、心のモヤモヤは晴れない。2月に出場を予定していたタイ開催の「アジアパシフィック女子アマチュア選手権」は出発前日に延期の一報が届いた(その後中止が決定)。急転直下の知らせに熱を出して寝込んでしまうほどだった。追い打ちをかけるように、オーガスタの夢舞台もいったん遠のいてしまった。
日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームでは、週に1回ほどのペースでZOOMを使ってオンラインでスイングチェックやトレーニング紹介のミーティングも行われたが、学校の授業などと重なって出席できないことも。渋野日向子と同じ青木翔コーチに師事しているものの、遠距離の外出を控えてしばらく足を運べなかった。
ライバルたちが練習していることは何となく理解できた。ただ、試合がなく、実際に戦う機会のない状況下でリアルにイメージすることは難しい。「『自分は何に対して頑張っているんだろう』とたまに考えてしまうことがありました。目標がない状況で頑張るのがきつかった」と正直に振り返る。
だからこそ、石川遼が高校生のために「The “One” Junior Golf Tournament」を開催してくれたことはうれしかった。初日は首位と5打差の3オーバー13位スタートとなったが、「今回ほかの選手と回れて、ほかの選手との差を感じられた。埋められるように、抜けるように頑張ります。頑張らないと、置いていかれるだけですから」。遠ざかっていた真剣勝負の緊張感に笑みすらこぼれた。
「日本女子オープンがもし開催されるなら、(昨年9位に入って)シードがあるので、それを目標にしています。それに出ることが、今のモチベーションです」。日本のトップアマは、再び前を向いて歩き出している。(横浜市保土ケ谷区/亀山泰宏)