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宮本勝昌は令和初Vに「信じられない、夢みたいな気持ち」

◇国内男子◇中日クラウンズ最終日(5日)◇名古屋ゴルフクラブ 和合コース(愛知)◇6557yd(パー70)

まさか…という表情で、宮本勝昌は最終18番のバーディパットを見送った。「10mくらいあった」というスネークラインのウィニングパットは、最後のひと転がりでカップに消え、あとには大歓声だけが残っていた。

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「信じられない、夢みたいな気持ちだった」と宮本はいう。「今までの優勝で一番タフな最終日だったような気がします」。

首位を1打差で追って出た最終日。宮本のスタートは最悪だった。1番では2打目がグリーン手前のバンカーに捕まって目玉となり、3オン3パットのダブルボギー。続く2番(パー5)でもバーディパットはカップの横をすり抜けた。今週、宮本のバッグを運んだ名古屋GCのハウスキャディ・遠竹則子さんは、「プロは試合を面白くしているんです」と、周囲の雑音を消すことに必死だった。

宮本はいう。「すぐに立て直すことはできないです。取り返そうと思って、取り返せるゴルフ場じゃない。だから、フェアウェイに打って、グリーンに載せる。バーディパットを打って、パーを獲る。そういうリズムをもう1回作り直そうと心掛けた」。焦らずに、自分のペースを取り戻すこと。過去11勝の経験は、46歳の肉体にしっかりと刻まれていた。

一進一退の中盤だったが、ボギーのあとには、すぐにバーディを取り返した。ロープ外では、妻・朋美さんと、翔太郎くん(13歳)、悠生(ゆうき)くん(11歳)の2人の息子も見守っている。宮本は息子たちを見つけては、ハイタッチを繰り返した。「最終日は緊張もするだろうし、シビアなプレーにはなるだろうなと思っていた。1つでも伸ばすことができたらいい」と、子どもたちには「アンダーパーで回ってくる」と、この日の目標を伝えていた。

3組前の今平周吾が、4つ伸ばして通算8アンダーでホールアウトした。宮本は17番を終えてこの日イーブンの通算8アンダー。17番でバーディを獲った同組の貞方章男も、通算8アンダーで並んでいた。

だが、最終18番は2オンに成功した宮本に対し、貞方は4打目でも寄せきれず、勝負は今平との2人に絞られた。決めれば勝ちのバーディパット。「建前は『入れるぞ』。でも、本音は『周吾とプレーオフしたら勝てないんだろうな…』」と揺れていた。

キャディの遠竹さんは、和合の9番と18番がフェアウェイから見て左から右に芝目が強いことを知っていた。フック、スライスのラインだったが「まっすぐ打てば入ります」と、宮本の背中を押した。

18番グリーン脇には、師匠の芹澤信雄に加え、藤田寛之上井邦裕高柳直人らも集結していた。妻の朋美さんは、「カップの手前で止まったと思った」というが、大歓声でカップに届いたことを知った。

「家で見ているお父さんよりかっこいい」と翔太郎くんも父の姿に見入っていた。終わってみれば、宣言通りの1アンダー「69」。こどもの日に誕生した“令和初”の優勝者は、18ホールのアップダウンもどっしりと受け止めた2児の父親だった。(愛知県東郷町/今岡涼太)

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