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チェ・ホソンが5年ぶりV “虎さん”のサクセスストーリー

◇国内男子◇カシオワールドオープンゴルフトーナメント 最終日(25日)◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知)◇7315yd(パー72)

アクションが驚くほど小さかったのには理由があった。独特のスイング(そしてフィニッシュ)と、手厚いファンサービスで人気のチェ・ホソン(韓国)は最終18番(パー5)で30㎝のバーディパットを沈め、静かに拳を握った。「リーダーボードが分からなくて、勝ったとは思わなかった」という一打はまさしくウィニングパット。顔を上げて「周りの雰囲気で優勝したと分かった」と、慌ててガッツポーズを作り直し、5年ぶりとなる日本ツアー2勝目を喜んだ。

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「きのうは何度も目が覚めた」という夜を過ごして迎えた最終日。単独首位でスタートし、出だし1番でバーディ発進を決めた。「1ホールごとに『おれはできる』と自分に言い聞かせ」、気持ちを強く持った。「思った通りに行かないのがゴルフだけど、きょうはうまく行った」。5バーディ「67」をマークして通算15アンダー。前回の優勝はインドネシアでのワンアジアツアーとの共同主管試合。後続を1打差で振り切り、日本での初勝利を飾った。

韓国南東部・浦項で生まれ、20歳の時に勤めていた地元の水産加工工場で、マグロの解体作業中に右手親指を切断した。自分の腹部の肉を移植して作った指は、多くの人よりも短い。この事故により韓国男子に義務付けられた兵役に就かなかった。入隊して離れていった同世代の友人たちに対しては、後ろめたい気持ちもあったという。

工場を退職後、23歳までに「7つくらいの職業に就いた」。百貨店などでの物流の仕事に励み、製鉄所に勤めたほか、炭鉱労働もした。運命が変わったのはゴルフ場のアルバイト募集の知らせを目にした時。泊まり込みで働くことで衣食の心配がなくなった。

一般客のクラブを拭いたり、ボールを集めたりする毎日で、自然とクラブを手にするようになったが、初ラウンドのスコアは「140だか150だか…」。それがある日、コースの社長の「お客さんの気持ちを知るために、従業員もゴルフをしよう」という言葉で一念発起し、25歳で本格的に取り組むことにした。「技術を誰にも教わったことはなかった」。独学で猛練習に励み、プロ転向後の2001年には韓国下部ツアーで2勝をマーク。08年にレギュラーツアーで初優勝を飾ると、12年末に日本ツアーの予選会を通過した。

日本を主戦場としてからも、必死に努力する姿が自慢だ。「この一年間、去年の大会の最終日と同じ気持ちでプレーしようと思ってきた」という。13位で終えた前年大会。ギリギリで賞金シードを確保(62位)し、苦しみから解放されたその夜に夫人とうれし泣きした。「これからは1ホールも、1ショットも、絶対に無駄にしない」。その誓いが結実した。

「誰が見てもわかるプロ」を目指し、色彩豊かなウエアを着る。歓声の沸く方に笑顔を向け、小気味いいアクションで笑いを取る。ここは観る人あってのプロスポーツの世界。「僕が一生懸命プレーする姿は何かを感じてもらえるはず。骨が折れるまで、頑張ります」。“虎さん”の情熱はもう、日本ツアーの名物のひとつなんだ。(高知県芸西村/桂川洋一)

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