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国内7戦2勝の石川遼「余裕は一切なかった」 来季米ツアーへの手土産とは?

3打差の単独首位から出た石川遼が、終わってみれば5打差をつける逃げ切りV。国内男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」最終日を6バーディ、3ボギーの「67」(パー70)で回り、通算14アンダーまでスコアを伸ばす独壇場で幕を下ろした。だが、当の石川は「余裕は一切なかった」と大きく息を吐き出した。

「心境的にはもっと追い詰められている感覚があった。1打でも隙を見せたら、つけ込まれると思っていた」

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最近、石川がルーティンに取り入れている動作に、アドレスに入る前にクラブを正対した飛球線方向に掲げ、片目を閉じる動きがある。「考える…というのではなく、どう体を動かして、どういう打感で打っていくか。どういう球を打っていきたいのかを右脳で意識する」ということを、その動作中にやっているのだという。

「バーディを獲りたい」「勝ちたい」といった欲を消し、目の前の1打に無心で向き合う。「自分にできる最上限のショットを打たないと、練習している意味がない」。置きにいったり、逃げたショットを打ったりしていては成長につながらないという考えだ。

13番でボギーを叩き、2位の小田孔明に3打差に迫られた直後の14番。先にティショットを放った小田は、右に大きく曲げて暫定球を打たされるトラブルに陥った。次にティショットを打つ石川には「安全で無難なショットを打とう」という誘惑が襲いかかる。だが「今日、結果を残すためにここにいるわけじゃない」という思いが、石川に1Wを振り切らせた。

結果はバーディを奪って通算12アンダーとしたが、リーダーボードを見れば2組前で回る藤本佳則が、3打差の9アンダーへと迫っていた。「残り3ホールで3つ伸ばすことはあり得る」。まだ、気を抜くことはできなかった。

15番(194yd/パー3)はグリーンの左から8ydにピンが切られ、左サイドに落とせばボギーは必至。右からのアゲンストの中、6Iで放った石川のティショットは、グリーン右手前にちょこんと載っただけだった。

石川の父・勝美さんは「あの右にプッシュした15番のティショット。ああいうのが弱点ですね。9番、10番と2打目を左に引っ掛けていたし、あの左ピンに対して怖くて振れなかったのでしょう」と手厳しい。
石川も「ちょっと悔しい」と、このショットに唇を噛んだ。「あれは、リードしている選手なら(安全にいって)そうなるよな、みたいな1打。でも、リードしている選手があのピンを攻めていったら『うわー、すげーなぁ』って思う。そういうショットが打ちたかったし、世界トップの選手はそう打っていく」。

もう1打、石川が課題としたのは続く16番の第2打だ。残り112ydを51度のウェッジでピン下4mにつけてバーディとしたが「本当はピン奥5ydに落とすつもりが、緩んだ分、ピンの横に落ちて4mショートした」。結果的にスコアカードに傷は残さなかったが、世界での戦いを想定すれば許容できる1打ではない。「この位置でこれをやっていたら、アメリカでは勝てないです」と切り捨てた。

とはいえ、今年の国内男子ツアーで複数回優勝を成し遂げた選手は、5勝を挙げて賞金王に輝いたキム・キョンテ以外には、わずか7試合の出場で2勝を挙げた石川だけだ。「いくつか、このショットじゃダメというのもあったし、逆にこういう状況でこのショットが打てたと自信になったものもあった」と、主戦場の米ツアーへ向けた土産は手に入れた。

「練習場ではできても、実戦では逃げてしまう自分がいた。打ち方以前の問題が、自分にとってのキーだった」。日本での実りの秋から、つかの間のシーズンオフを経て、石川は再びアメリカへと戻っていく。(東京都稲城市/今岡涼太)

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2015年 ゴルフ日本シリーズJTカップ

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