青木功が若手選手にメッセージ「もっと“はみ出して”」 文化功労者顕彰を祝う会
男子プロゴルファー・青木功の文化功労者顕彰を祝う会が10日、都内で行われた。青木は昨年、ゴルフ界では2014年の女子プロの樋口久子(日本女子プロゴルフ協会顧問)以来2人目の顕彰者に選出。ゴルフ業界関係者ら約750人が出席した式典で、「ゴルフは天職。そのぐらい没頭できたから今がある」と語った82歳が後人にエールを送った。
千葉県出身の青木は14歳の時、我孫子ゴルフ倶楽部のキャディのアルバイトを通じてゴルフと出会った。1964年のプロ入り後、日本ツアー51勝を含め国内外で通算85勝。83年「ハワイアンオープン」では日本人選手として初めてPGAツアーで優勝した。
1960年代以降に活躍した杉本英世、河野高明、安田春雄といったかつての“和製ビッグ3”を引き継ぐ形で、青木は尾崎将司と中嶋常幸との“AON”としてゴルフ界を席巻。当時に比べて、「今の選手はおとなしすぎるかなと思う」というのが率直な気持ちだ。
「もうちょっと自分をアピールしてほしい。もっと“はみ出して”やってほしいなと思う。はみ出せば(世間に)たたかれる。でもたたかれてもそれを通せるか、通せないか。松山(英樹)くんはアメリカに行きっぱなしでいたいという気持ちがあって、マスターズを勝ったりしたと思う。今の人たちも覚悟を決めていかなきゃいけない」
技術面では長所を伸ばすことの重要性を説いた。「オールラウンドではなく、部分的なもの(強さ)を1つでも2つでも多くすれば、試合で勝てるはず。私もジャンボ(尾崎)が出た時には、アプローチとパター、バンカーショットは絶対に負けないと思い、それで対抗してきた」と、つばぜり合いを繰り返した時代を振り返る。
9日には米女子ツアー「ブルーベイLPGA」で、竹田麗央がルーキーイヤー5試合目でさっそく優勝。「男子にそれがないから悔しい。女子プロは毎年(有望な選手が)出てくる。女子の方が『私が、私が』という気持ちが強いんじゃないかな。そういう男子が出てきてくれたら」と新たな若手男子プロの台頭に期待した。
昨年3月、2016年から4期8年にわたって務めた日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長職を退任した。現在は「人の上に立つ苦労を癒すために少し遊んでいる」と笑う。今後は競技でのプレーや、ジュニア育成にも力を尽くしたい考え。「(ジュニア教室を)8年、9年とできなかったので、また復活させたい。技術もさることながら、(将来)プロゴルファーにならなくても社会人に必要なことを教えたい」と熱意が衰える様子はなかった。(編集部・桂川洋一)