旅人ゴルファー川村昌弘シリーズ
2024年 ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!
期間:04/25〜04/28 場所:太平洋C御殿場C(静岡)
信念<先週の一枚>フォトグラファー今井暖
◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 最終日(28日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇晴れ(観衆8020人)
クローゼットの奥の奥に埃を被ったハードディスクが並んでいる。いつか見返す時が来るかもしれないと思って保存してある写真たちだ。プリントされたものではなく姿形のない写真データ。場所もとらず便利ではあるが少し味気ない。その中の「2012」と書かれたハードディスクの中から若き日の川村昌弘の写真をようやく見つけた。
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人は彼のことを”旅人ゴルファー”と呼ぶ―。そんな書き出しで始まる連載がスタートするずっと前、彼を撮影する機会があった。ゴルフの撮影を始めたばかりの僕が最初に撮ったツアー選手が彼だった。高校を卒業したばかりで、まだあどけなさの残る表情と個性的なスイングで僕のフィルム、いやSDカードに収まった。あれから十数年、あどけなかった表情は今や頼もしい髭とシワを携え、DPワールドツアーのシード選手としての雰囲気を纏っていた。地球をフィールドに世界中のゴルファーたちと何年も競い合い、戦い続けてきたのだ。たくましくならないわけがない。8番ホールのグリーン脇で再開した時、少しこみ上げるものがあった。
ひっぱり出してきた昔の写真を見返していると、自分の拙さと共に彼の変わらない信念に気づいた。一つはゴルフウェアの好み。もう一つはあの個性的なスイングだ。もちろん見えないところで日々アップグレードはしているはずだが、何にもとらわれず昔のまま、自分の信念を貫いて世界と戦い続けている。何かとても大事なことを19歳と30歳の彼に教えられている気がした。
あの日、上下黒のウェアで撮影をした。70カ国以上渡り歩いてきた彼のクローゼットには、今も上下黒のゴルフウェアがたくさん並んでいるはずだ。(フォトグラファー・今井暖)