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ホンマは“にわか”阪神ファン 吉田泰基がスーパーイーグルで賞金王に挑戦状

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(11日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)◇曇り(観衆7661人)

分厚い雲に隠された富士山を背に、思わずつぶやいた。「おめでとうございます…」。終盤17番(パー3)、吉田泰基は同じ最終組の今平周吾の鮮やかなティショットに圧倒された。次の18番に入った時点で4打差。ともすれば相手の“楽勝ムード”が、1ホールで一変するからゴルフは分からない。

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御殿場の一番のチャンスホールであるパー5、吉田は2打目に265ydを残した。最近は10月の「日本オープン」でアルバトロスを達成するなど、ロングゲームの調子が良い半面、短いクラブに自信がない。「ウェッジより5Wのほうが寄るくらいの精度」。だから握ったのが3Wでよかった! 手前の池を恐れずグリーンを狙った一打に好感触が残った。

日没間際のコースで視界はさえなかった。「打って1秒しないくらいで(ボールが)消えました」。2オン成功はギャラリーの「乗ったよ!」という声で知った。「マジすか、すごいですねぇ」と、まるで他人事のように返して歩いていくと、ピンそば2mに付いていてびっくり。見事なイーグルを決めて歓声をいっそう大きくした後、今平がバーディチャンスを外してその差は2ストロークになった。

思えばこの日は、午前4時に起床し、順延による前日未消化分から再開。早朝の4ホールで1つスコアを伸ばしてコースレコードに並ぶ「63」をマークした後、「68」で通算10アンダーにのせ、ムービングデーを終えて2位。「ラッキーが常にありました。4m、5mのパットが結構入った」と驚きを隠せない。

シード1年目の25歳。兵庫県出身でスタート時のアナウンスでは「阪神ファン」と紹介され、とっさに両手でつくった“虎ポーズ”は、実は見よう見まね。ホントは甲子園球場に行ったこともなければ、タイガース戦を観戦したこともないし、なんならV戦士たちの名前も1人(近本光司外野手)しか知らない。「にわかです」と正直に明かす。来場した観衆に精一杯応えるのは旺盛なサービス精神あってこそだ。

あすもう一度、2018&19年の賞金王に立ち向かう。最終組で回る最終日はキャリアで2回目。前回の9月「ANAオープン」は「73」を叩いて8位で終えた。「あのときはもうフワフワしていて自分のプレーがまったくできなかった。たぶん、自分に期待しすぎていたので。今週はまったく期待していません。パットがなんとか入ってくれたら…、今平さんに追いつけ、追い越せをできるかなと思います」。歴代優勝者にビッグネームが並ぶ伝統の大会で、無欲でサプライズを起こす。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

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