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憧れの“旅人”が勝ったコース 欧州V帰りの久常涼が見据えるもの

◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 事前(10日)◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪)◇7315yd(パー70)

4月以来となる国内ツアーに臨む久常涼は「ありがたいことに、3㎏太りました」と冗談めかして笑う。9月「カズーオープンdeフランス」で日本勢3人目の欧州ツアー優勝を飾って帰国し、身体のケアを中心に過ごした2週間のオフを挟んだ。恋しかった日本食が、異国の地で成し遂げた快挙の“ご褒美”になった。

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このタイミングでの帰国は、かなり前から決めていたという。米下部コーンフェリーツアーの予選会ファイナルステージからの挑戦を念頭に、ノンメンバーポイントを稼げる日米共催「ZOZOチャンピオンシップ」出場チャンスをうかがっていたためだ。今回の優勝により、2024年のPGAツアー出場資格を付与される欧州ツアーの年間ポイントレース上位10人(有資格者を除く)圏内に浮上したことはうれしいサプライズだった。

初めてプレーする茨木カンツリー倶楽部へのモチベーションは高い。「ヨーロッパで頑張っている、憧れの川村さんが初優勝されたコース。この舞台を知っておきたかった」。欧州ツアーの先輩として公私ともにお世話になっている“旅人ゴルファー”川村昌弘が、当地で開催された2013年「パナソニックオープン」で優勝している。「(コースについても)少し聞いてきたので、大丈夫なはずです!」と力強い。

世界ランキングでも一気に松山英樹に次ぐ日本勢2番手に浮上。自身が勝ったル・ゴルフ・ナショナルで行われる24年「パリ五輪」出場の可能性も膨らむ21歳は、進むべき道を見失っていない。「少し“欲深く”じゃないけど、もっと上げられるように」と話す世界ランクを、現在の104位から「マスターズ」の目安となる50位以内にどこまで近づけられるか。欧州での立ち位置もさらに上を狙って今月末の「コマーシャルバンク カタールマスターズ」を皮切りとするラスト3試合にパワーを注ぐ。

そして、何より目の前の一戦。「僕が勝てた試合がフランスのナショナルオープン。もちろん、日本のナショナルオープンで優勝したい。あまり自信はないので、静かにやりたい」と笑いつつ、準備は着々と進める。

フランスでも優勝の相棒となったL字のエースパターから、今週はテーラーメイド スパイダーツアーZにスイッチ予定。「海外の芝目がきついグリーンから、日本のきれいなピュアなグリーンに戻ってきた中で、構えやすくて安心感のあるパターを求めていた。今回の新作が、その点でフィットしてくれた。デカヘッドなのに“前重心”なんです」とうなずく。

「今週もたくさんコースで(祝福を)言われて、うれしい限り。でも、もう(勝った)試合は終わっちゃったので。また頑張りたい」。表情を引き締め、昨年初出場で予選落ちした大会へのリベンジを誓った。(大阪府茨木市/亀山泰宏)

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