モンスターコースでただ一人60台を4日間並べた

◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日（3日）◇富士桜CC（山梨）◇7424yd（パー70）◇晴れ（観衆2008人）

3mのウィニングパットは「僕も入ると思っていなかった…」。後続に4打差をつける圧勝で逃げ切った金谷拓実は、少しだけ申し訳なさそうに苦笑する。

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同組の片岡尚之は単独2位がかかる2mほどのパーパットを残し、細野勇策もやはり同じくらいの距離があった。「（2人とも）結構大事なパットだったので、先に打たせるのは申し訳ない。外れるだろうと思って打ったら、入っちゃいました」。タフな15、16番（パー3）で約4mを沈めるなど、この日冴えわたったパターは、本人の予想すら上回るレベルで神がかっていた。

ただ一人、4日間アンダーパーの60台を並べる完勝にも「コースがホントにタフだったので疲れました」。極限まですり減らした集中力が、通算アンダーパーフィニッシュわずか8人のモンスターコースでいかんなく発揮された形。12番でフェアウェイの絶好なポジションから左奥にこぼして唯一のボギー。こんな悔しいミスが出た時こそ、今季心掛けているリズムとテンポへの意識を強めたという。

ラフからの対処も抜群。最終日のボギーは1個だけ

「よく（自分に）怒るんですけど…」と笑いながら、「怒ると心拍数とかも上がって、何事も早く動きがちになると思っている。去年とかことしも途中、そういったことがあったので意識していました」。続く13番（パー3）はオナーでピンに絡めるスーパーショット。バーディパットは惜しくも外れたが、感情の揺れ動きで自滅する気配はみじんもなかった。

ミスした時こそ冷静になれる強さを身につけつつある

海外メジャー「全英オープン」から帰国直後だった7月「日本プロ」でキャディのライオネル・マティチャックさんに雷を落とされた。連戦の疲労、英国とは比較にならない日本の猛暑、プレーもうまくいかずにイライラ…。初日に「75」をたたいた。「すごく簡単なのに、自分で難しくしている」――。ホールアウトして向かったパッティンググリーンで飛んだ厳しい叱責が胸に響いた。「そこから、（当然）ミスもするんですけど、そういったの（怒り）を抑えながらプレーできているんじゃないかなと思います」

次の優勝も、やっぱり松山先輩に続きたい

2019年にアマチュア優勝を飾った「三井住友VISA太平洋マスターズ」、プロ初Vとなった20年「ダンロップフェニックス」、そして今回の富士桜。いずれも尊敬する東北福祉大の先輩・松山英樹が制したトーナメントだ。「どれも、ずっとテレビで小さい時から見ていたので。松山さんが優勝した試合に対しての憧れは、すごくあります」と、後に続けたことを心から喜ぶ。

賞金ランキングでもライバルの中島啓太をかわして1位に浮上したが、ここで止まるつもりもない。「（日本での）複数回優勝も2シーズンぶりですけど、ことしはもっともっと優勝できる自信もあるし、していきたいなと思います」。気合をみなぎらせ、ターゲットも明確にした。「日本オープンは獲りたい」。やはり、松山先輩が勝ったビッグトーナメントが目標だ。（山梨県河口湖町／亀山泰宏）