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笑わないのは父の教え “大人になった”岩田寛がレジェンドに続く和合2勝目

◇国内男子◇中日クラウンズ 最終日(30日)◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557yd(パー70)

極めて珍しく両手で作ったガッツポーズ。岩田寛は「“しなきゃな”って感じでした。でも、(映像で確認したら)ダサかったですね…」といつものトーンで言って笑わせた。2年ぶりの大会2勝目。和合での複数回Vは1973年のツアー制以降で青木功尾崎将司片山晋呉に次ぐ日本人4人目の快挙だ。「メチャクチャ光栄ですけど、お三方が偉大すぎる。まだまだだなと思います」と謙虚だった。

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練習段階でもひとつのミスが許せなかった完璧主義者。2015年「全米プロ」で当時のメジャー最少ストロークに並ぶ「63」で回った直前のドライビングレンジで納得がいかず、ウェッジだけを打ってロングゲームの練習にたどり着けなかった逸話もある男が「すぐ落ち込むのをやめたんです、先週から」

自分への期待を抑え、何とか気持ちをフラットに保つ。同じ最終組の蝉川泰果が4連続バーディ発進しても「ほかの人のバーディは気にならなかった」と振り返る。心を揺らさずに戦うから、勝負どころで集中力を高める余力があった。「これは絶対に入れなきゃいけない。1個ボギーを打っちゃったら、ズルズル行っちゃいそうな気がした」という13番のパーパット。2m強のスライスを決めて築いていた4打のリードを保ち、勝利をグッと引き寄せた。

今季は2月から中東でのアジアンツアー3試合に出場したが、全て予選落ちを喫した。「ボロボロ。ホントにショックすぎて、課題も何もなかった」。渡航中に体調を崩し、新型コロナウイルスの検査では陰性だったものの、帰国後に熱を出して一週間ほど寝込んでしまった。状態も上がらず、「まさかこんなに早く優勝できると思っていなかった」というのが本音だ。「藤田(寛之)さん、ビジェイ・シン、ジャンボさんもそう。谷原(秀人)さんも去年勝った。40代で勝ち星を重ねる人もいるから続きたい」と前を向く。

3日目の前半3番でダブルボギーをたたきながら勝ち切った戦いぶりには、メンタル面の変化も感じさせた。「“大人”になったなって部分はありますけど、いつでも“子ども”に戻れるので不安です」。プロになる前に父・光男さんから言われた教えを愚直に守り、いまも試合中に表情を崩すことはほとんどない42歳がニヤリと笑った。(愛知県東郷町/亀山泰宏)

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