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QT前日のカート事故から6年 山本太郎が“週7バイト”で描くストーリー

◇国内男子◇ダンロップ・スリクソン福島オープン 2日目(25日)◇グランディ那須白河ゴルフクラブ (福島)◇6961yd(パー72)

「覚えやすい名前と言っていただける。両親に感謝です」。予選会を経て出場する山本太郎の目はキラキラしている。この舞台で戦えることがうれしい―。そんな気持ちが全身からあふれていた。

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開幕前日に誕生日を迎えた28歳。レギュラー出場は2017、18、19年と1試合ずつしかなく、これが通算4試合目。プロゴルファー人生は日大4年で初挑戦した2015年の予選会から波乱含みだった。ファーストQT直前の会場で練習中にカートが横転する事故。足の靱帯(じんたい)を損傷する大ケガを負った。

麻酔を打って強行出場し、ホールイワンも記録するなど奮闘。しかし、最終日に痛みが限界を超えた。「歩けなくなってしまった。ほかの選手にスロープレーで迷惑をかけるわけにもいかない」と無念の途中棄権となった。

プロゴルファーとして生きていく覚悟を決めようにも、収入がない。インドアのレッスンを運営する会社に3年勤めた。現在は今平周吾の“原点”として知られる埼玉県の日高プラスワン練習場でアルバイト。週3、4回の練習場レッスンに加え、アルバイト以外のラウンドレッスンも週3回ほど詰め込む。練習場で働く合間や自らもプレーするラウンドレッスンはプロゴルファーとして腕を磨く貴重な時間。夢につながる道と信じているから、「休みはありません」と笑顔で話す。

経済的な事情で始めたレッスンの仕事。教えている“生徒”の6人が今大会の応援に駆けつけてくれた。「選手としてトントン拍子で行っていたら、レッスンの道には行ってなかった。でも、選手一本だったら知名度もないですし、これだけ有名どころがいる中で、僕だけに18ホールついてきてくれることもなかった。やっていて力になりました」と感謝を口にする。

ツアー自己ベスト「65」で通算10アンダーまで伸ばし、ホールアウト時点でトップと5打差。「まず、次のJGTO主管試合に出られるトップ10を目指して。ミニツアーとかで一緒だった(5月に)片岡(尚之)君が初優勝した。僕だって、勝てばシードをもらえる。なんとか勢いのあるときに」。やっと訪れた週末のチャンスを逃すわけにはいかない。(福島県西郷村/亀山泰宏)

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