~第3部 復刻版 EYE2 XGウェッジをリリースした理由とは~ 米国PING本社に潜入レポート!
米国PING本社に潜入レポート!第3部では、4月末に発売予定の「EYE2 XG ウェッジ」について、復刻モデルをリリースした経緯を探るべく、米国PING社の会長ジョン・ソルハイム氏にインタビューを行った。
1982年に発売され、世界中でロングセラーとなった「EYE2 ウェッジ」。復刻モデルには「XG」と表記されているが、これは2010年溝規制適合モデルの意で、10「X」と、Groove(溝)「G」を意味する。ツアープロを唸らせてきた性能とクラブデザインで、難しいライやバンカーから驚きの性能を発揮するウェッジだ。形状は初代「EYE2 ウェッジ」と同じ金型を使用して再現。仕上げはディープ・サテンを採用することで、高品質感を演出している。
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さて、約30年もの時を経て、なぜ復刻版を出すことにしたのか、ジョン・ソルハイム氏に経緯を聞いてみた。
「復刻モデルを出した経緯は、2010年溝規制後でも『EYE2 ウェッジ』を使い続ける選択肢を与えたかったからです。『EYE2 ウェッジ』は歴代のウェッジの中で人気モデルであり、特にバンカーからのショットはどのウェッジにも勝ると自負しています。それを証明しているのがツアー選手であり、今でも使い続けてくれています。また、実際に復刻モデルのウェッジをツアー選手に使わせてみても、スピン量は旧溝モデルと比べても引けをとらなく、ボールの耐久性に関して言えば、以前よりもよくなりました」
2010年PGAツアーで物議を醸しだした「EYE2 ウェッジ騒動」に終止符を打つべく、違反クラブではないのだが、使用している選手に迷惑をかけたくないという、メーカー側の配慮であった。
また、2010年溝規制に関して会長は次のように述べている。
「2008年の溝規制の改正では、溝の両サイドの壁を平行までOKにしたのに(溝の体積が大きくなるためスピンがかかりやすくなる)、2010年の規制ではスピンを『悪』として規制するのはおかしいと思います。実際この規制により、2010年PGAツアーの結果に、何か影響があったのかと疑問が残ります」
と、今でもR&Aの決断には不満を隠せない様子。メーカー側としてルールは尊守しなければならない反面、一般のアマチュアゴルファーに対して、購入したクラブが使用できなくなるといった損はさせたくなく、いつまでも使い続けてもらいたいという葛藤があると胸中を打ち明けてくれた。(米国アリゾナ州フェニックス/宮田卓磨)