アキラと増田雄二が「和製キャメロン計画」
日本のクラブメーカーは、パターが弱い――。そんな不名誉な常識が、クラブ市場には定着している。古くはピン、現在はオデッセイやロッサがパター市場で圧倒的なシェアを占めているように、パターのヒット商品はアメリカ勢の独壇場だ。
その理由を、さる国内大手メーカーは次のように説明する。「日本人ゴルファーの最大の興味は、飛距離を1ヤードでも伸ばすことに集約されるため、多くの国内メーカーは開発予算をドライバーに集中しています。それがパターが弱い最大の原因。また、パターのヒット商品には個性的な形状が求められる。遊び心よりも品質を重視する日本の開発者には、不得意な分野といえるかもしれません」
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そんな現状を打破するため、アキラプロダクツはこのほど、クラブ設計家の増田雄二氏とタイアップして「和製キャメロン」を目指す方針を明らかにした。増田氏はジャンボ尾崎の黄金期をクラブサポートで支えた実績をもち、一世を風靡した『WOSS』を皮切りに、尾崎自身が立ち上げたクラブメーカー・TMJのチーフデザイナーとして辣腕をふるった経歴の持ち主。アキラはここに着目し、増田氏と共同でオーダーメイドパターを供給していくという。
同社の弁。「パターは長年、外資系メーカーの独壇場になっていますが、なかでもタイトリストとスコッティ・キャメロンのコラボは秀逸です。彼らにできて、日本のメーカーにできないはずはない。そんな思いで、『和製キャメロン』を目指すことに決めました」
アキラは昨春、久保谷健一との契約をきっかけに男子ツアーへ本格参戦。同時に、全国60店舗の工房を取りまとめてプロトタイプを供給する「プロトの会」を結成し、現在の会員数は220を越えるまでに成長した。大手メーカーが価格競争に巻き込まれている昨今、これを回避するために独自の流通経路を整備して、付加価値の高い商品を供給するのが目的だ。いわば、小さな専門店の「お助けブランド」といった位置づけで、両者のコラボパターを新たな目玉に据える目論見だ。「ゴルファー個々の要望に応じてネック装着をしたり、インゴットから削りだしたりと、完全オーダーメイドを目指します。店主と顧客の会話が弾めば、値段競争にさらされない付加価値型の商品が実現できます」
ここ数年、多くのクラブメーカーは市況の低迷に四苦八苦。活路を見出すことに苦労しているが、あえて日本メーカーが不得意とする分野に独自の流通戦略で挑戦する。成功すれば、中小企業が生き残るための先行事例になるかもしれない。詳細は今後、明らかになる。