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2024年 アーノルド・パーマー招待byマスターカード
期間:03/07〜03/10 場所:アーノルド・パーマーズ ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)

合宿は松山英樹邸で 日本から門をたたきにやって来た若手選手

◇米国男子◇アーノルド・パーマー招待 最終日(10日)◇ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)◇7466yd(パー72)

1月ハワイでの「ソニーオープン」に出場した岩崎亜久竜は、本当ならその後、フィリピンで合宿をする予定にしていた。3月の国内ツアー開幕に向けて、冬の日本にとどまっていては十分なレベルアップは望めない。するとその話を耳にした松山英樹から、こう声をかけられたという。「じゃあ、来る? ひとりで良いならウチでやれば」――

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北米最南端のフロリダ州。2013年秋にPGAツアーの正式メンバーになった松山は15年に同州中央部のオーランドに自宅を購入した。邸宅はゴルフ場の一画にあり、ボールを打ちたくなったら、すぐに敷地内のドライビングレンジにカートを走らせることができる。米国ならでは、多くのPGAツアー選手にとっては一般的、と言えるゴルフ環境がそこにある。

同じ黒宮幹仁コーチに師事する間柄という縁もあり、岩崎は予定を変更、米本土に渡り松山の自宅に居候した。あいにく主人は優勝した「ジェネシス招待」を含む連戦のため遠征中だったが、2月下旬には今季日本ツアーをシード選手として戦う杉原大河も合流。温暖なフロリダで黙々とトレーニングと打ち込みに励んだ。

松山はこれまでも、スポット参戦で渡米してきた若手選手に自宅を“開放”、金谷拓実比嘉一貴を招きオープンウィークを一緒に過ごしたことがある。ホームコースだけでなく、近隣のゴルフ場を一緒に訪れてラウンドすることも少なくない。今回も2月末にフロリダに戻ってからは2人と一緒に汗を流し、今週の「アーノルド・パーマー招待」の会場ベイヒルクラブも一般営業日にプライベートで回った。

先月25日、松山は32歳になった。昨年の「日本オープン」を制した26歳の岩崎、24歳の杉原にはもう“純粋な”ロングドライブではかなわない。例えばインドアで、弾道計測器で調べれば10yd、20yd以上、飛距離に差が出ることもある。

ところが実際のゴルフ場、とりわけPGAツアーが開催されるようなコースでは、一概に同じになるとは言えない。松山が2人をアウトドライブすることがしばしばあるという。黒宮コーチが解説する。「松山プロはたくさんの弾道を打てる。ロケーションに負けない、それに適した球を選ぶんです」。ドローにフェード、高さや強さの打ち分け。ティイングエリアからの見た目、フェアウェイの形状によって、放物線の形を変える。

ベイヒルでのプレーに胸を躍らせていた杉原は「コースに入った瞬間、難しいと思った」という。「(視界は)広いのに狙える場所が狭い。松山さんはただ飛ばすだけじゃなくて、ボールの落としどころを知っている。だから結局、僕らよりも前に行く」。ティショット一つとっても差を感じるのだから、背中はいっそう大きく見えた。

「いろいろ収穫がありました。この試合を観られたのも良かった」。大会初日のプレーを目で追い、翌日帰国の途に就いた岩崎は言った。感銘を受けたのは一つひとつの技術だけではない。「(松山は)練習やトレーニングが目先の試合を見ている感じではなくて、先のことを、目標を見据えてやっている感じがしました。それを、すごく長く続けている」

もちろん先輩は年齢の分だけ経験も豊富だが、これまで過ごしてきた時間の濃密さは他選手と一線を画すかもしれない。杉原は、松山には「全てに自分が強くなるための明確な意思がある」ように感じた。

「トレーニング一つとっても、どうしたらスイングにつながるかを考えている。ゴルフはもちろんすごいんですけど、自分の身体のことを、コントロールの仕方を知っている。それに松山さん、『どういう意識で打ってるの?』なんて、向こうから聞いてくるんです。“僕クラス”の言うことなんて聞いても…と思うんですけど、ちょっとでも自分にとって良いものを取り入れようとしている」

岩崎と杉原がフロリダで多くのものを吸収したように、先輩にとっても、欧米に渡って少しずつ成果を出している若手選手たちの存在は今、発奮材料でもある。2人と過ごした数日間について、松山は「刺激になる。ただ、疲れる」と笑って息をついた。「でも…勝ってほしいからね」。近い将来、同じフィールドでぶつかり合える相手を待っている。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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