ゴルフで知った米国人の「Winner takes all」精神/小林至博士のゴルフ余聞
2021年 ザ・CJカップ
期間:10/14〜10/17 場所:サミットクラブ(ネバダ州)
10月17日はマリガンの日 “やり直し”へのリスペクト
2021/10/19 14:15
◇米国男子◇ザ・CJカップ 最終日(17日)◇サミットクラブ(ネバダ州)◇7431yd(パー72)
誰が決めたか知らないが、毎年10月17日は「マリガンの日」(ナショナルマリガンデー)だそうなのだ。マリガン(Mulligan)はゴルフ用語で、一般的には“あさイチ”のティショットを失敗したとき、「なかったコトにして」打ち直すことを指す。ルールブックにはなく、もちろん競技では認められない、まあ、つまりは“ズル”だけど、それを大いに受け入れようじゃないか! という日である(らしい)。
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マリガンの由来は諸説あり、全米ゴルフ協会(USGA)は1920年代のカナダの実業家デイビッド・マリガンさんにまつわるいくつかの話を紹介している。第1打がまっすぐ飛ばず、すぐに打ち直して「いまのが正しいショット」と言った彼の姿を見て、仲間たちが命名したもの。コースに来場する際、近くの橋を渡るのに自動車が大きく揺れるため、1番ティで「まだ体が震えているから」という理由を持ち出され、打ち直しが許されていたという話。いつも寝坊してギリギリでティオフするから一発目を見逃されていたというストーリー…。
“別のマリガンさん”にまつわる可能性もあるそうで、18世紀のアイルランド生まれの英国人ゴルファー、トーマス・マリガンさんに由来するという説も。1930年代に米国のゴルフ場のロッカールーム係だったジョン・A・バディ・マリガンさんが、同伴競技者に「僕は(あなたたちと違って)朝から練習していなかった」と主張して打ち直したという逸話も残る。
ハッキリしない起源はさておき、「マリガンの日」の主旨はそういう“ズル”を罰しようとか、咎めようとかいうものではない。1回目で成功しなくても、2回目ないしは3回目、あるいはいつか実現したい、そうありたいと願うことを讃えたもの。失敗してもやり直せる、人は誰しもセカンドチャンスを与えられるべきという考え方に基づいている。
記念日を紹介する米サイト「ナショナルトゥデイ」は、マリガンの日を冒頭でこう紹介。
「ナショナルマリガンデーは『やり直したい』というすべての事柄に当てはまります。マリガンは人生という逆境と戦う決意を持った人々のためのもの。正直なところ、私たちはみな、ときどきマリガンを必要としているのです」―。(ネバダ州ラスベガス/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw