「最高の涙」を読んで
2009/12/29 15:59
09年は、日本のゴルフ界にとって実り多き年だったように思う。国内男子ツアーでは石川遼、そして女子では横峯さくらという人気選手がそれぞれ初めて賞金王のタイトルを獲得し、海外では宮里藍が米ツアー初優勝を成し遂げた。我々取材スタッフも、男女海外の区別なく現地に飛んでは取材を続け、実に有意義な一年だった。
ただ、ひとつ残念なことは、特定の選手についてみっちりと、調子が良い時も悪い時も密着してその微細な感情の揺れや、技術の変化を見続けることが出来なかったということだ。
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ここに一冊の本がある。今年11月に発売されたばかりの「最高の涙」という本で、著者は安藤幸代さん。安藤さんは、女子アナながら自身でビデオカメラを持って単身渡米する程、宮里取材に熱を入れ、そこで得た情報をテレビやこの本を通して我々に伝えてくれる。
表情やコメントには表れない宮里の心の淵が、女性同士ならではのやり取りの中から伝わってきて、読んでいて“なるほどなぁ”と思うことが多々あった。取材者と取材対象との関係は微妙なもので、近過ぎても、遠過ぎても上手くいかない。しかし、この本の中では、安藤さんと宮里の間には、独りよがりにならない距離感が保たれていて心地良かった。
それにしても、「エビアンマスターズ」という試合で宮里が初優勝を飾ったのは、二人の間にはやはり何かの縁があったのかと感じてしまう(詳しくは書籍を参考に)。その一方で、その週の前後はイギリスにいながら、大事な週に一時帰国してしまった自分がなんとも情けないが…。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka