申智愛が米ツアーの会員資格を放棄 今季は日本ツアーを主戦場へ
2014年 ニチレイレディス
期間:06/20〜06/22 場所:袖ヶ浦CC新袖C(千葉)
「全米女子」より「ニチレイレディス」を選んだ申智愛が首位発進
国内女子ツアー「ニチレイレディス」初日、今季米ツアーから日本ツアーに主戦場を移した申智愛(韓国)が「69」をマークし、3アンダー首位タイの好スタートを切った。今週、開催されている海外メジャー「全米女子オープン」への出場資格(世界ランク29位)も持っているのに、出場辞退して、千葉・袖ヶ浦CC新袖Cでプレーしている。
2008年に「全英リコー女子オープン」で20歳にして海外メジャータイトルを獲得。翌09年には米ツアー賞金女王、さらに10年には世界ランクナンバーワンにも立った輝かしい戦歴を誇る26歳は、
いまなぜ海外メジャーではなく日本女子ツアーでプレーしているのか?
申は全米女子オープンに出場しない理由を次のように語った。
「今年は日本ツアーで戦うと決めた以上、全力でやるつもり。アメリカの試合は既に何度も経験しているし、全て投げ出す思いで、ここを主戦場に決めたから」。
日本で戦うことを決めたのは、申自身がはじめて日本ツアーのトーナメントに出場したとき(2008年「PRGRレディース」)に感じたことが大きかったという。ギャラリーと選手との親密な繋がり、日本のホスピタリティに感動し、その経験は世界のトップで活躍しながらも、更新されることなく心に残り続け、決断を後押しした。
実は、申がこれまで明かしてこなかった、理由がもうひとつある。「日本はトーナメント開催各地で、名産を食べられる。名古屋なら味噌カツ、沖縄ならゴーヤーチャンプル、北海道ならメロン! それとカニ! でも一番好きなのは――卵焼き!」。そう、卵焼きの存在だ。
申のお気に入りは、遠征先のホテルや旅館で朝食の一品として出される定番の卵焼き。日本人なら誰でも想像できる、あの出汁のきいた卵焼きだ。長引く不振にあえぎながら、慣れない日本で転戦を続ける今も、毎朝の卵焼きを楽しみにモチベーションを保っている。
ちなみに、申がまだ米ツアーメンバーだった当時のオフィシャルプロフィールを見てみたら、そこには「Favorite food(好きな食べ物):fried egg」と書かれていた。いやちょっと待てよ、“fried egg”は目玉焼き? 英語には卵焼きを明確に表現する言葉がないのか。“rolled egg”、“Japanese omelette”???
マネージャーも含めた、身振り手振りも駆使した入念な取材結果として、とにかく申の好物は、2008年に初めて日本ツアーに参戦した時から変わらず、あの卵焼きであることに間違いはない。
米国で約5年間に渡る転戦生活の中で孤独に疲れたこと、そして近年、コース全長が伸び続け、飛距離追求の身体的負担が大きくなった点も、日本ツアー参戦の理由に挙げている。全てを投げ打って専心を決めた申の現在の目標は、「日本ツアーでのキャリアを積むこと」。まずは、未だ獲っていない日本の賞金タイトル獲得に邁進する。
日本ツアー大好き。申の心は今ここにある。(千葉市若葉区/糸井順子)