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3年前の“出世大会”覇者が好発進!初賞金を目指す

賞金ランキングトップのO.サタヤ(タイ)、初優勝を挙げたばかりの渡邉彩香ら今季スタートから波に乗る選手たちの首位争いで幕を開けた「スタジオアリス女子オープン」初日。また1人、見慣れない選手名がリーダーボードの上位に飛び込んだ。自己ベスト「69」をマークして3位で滑り出した山本亜香里は今年でプロ5年目。これまでレギュラーツアー16試合に出場して、すべて予選落ちに終わっている26歳だ。

2010年に最下位で辛くもプロテストを通過したが、その年の年末の「LPGA新人戦 加賀電子カップ」では酒井美紀井芹美保子らそうそうたる同期を抑えてタイトルを獲得。開催コースのグレートアイランド倶楽部で「伊藤園レディス」を主催する伊藤園と所属契約を交わすなど、期待の新人プロとして華やかな第一歩を踏んだ。

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しかし、その後は鳴かず飛ばず…。下部ツアーを主戦場とするシーズンが続き、表舞台に立つ日はなかなか巡ってこなかった。

過去には森田や横峯さくら上田桃子不動裕理らが獲得してきた新人戦の“出世タイトル”も、いつしか重荷に変わった。「試合にも出られず、出られても成績が出ずに、もどかしかった。相当、苦しかったし、不安と自信のなさでずっともがいていた」。

だが、昨年の初めから同じ伊藤園に所属する1992、95年の賞金女王・塩谷育代に師事し、「スイングの考え方や方向性が見えてきた」と徐々に好転。昨年末のファイナルQTでは39位に入り、ついにレギュラーツアーの出場権を得た。開幕から5試合は予選落ちに終わっていたが、「開き直りもあったし、もう失うものは何もないという気持ちだった」という。

早く朗報を届けたい人たちがいる。研修生時代を過ごした、滋賀県のタラオカントリークラブの関係者たちだ。当初はプロ入り(の翌年)から3年間までの経費を支援してもらう約束だったが、晴れてツアーメンバーとなった4年目の今年も引き続きの経費支援を続けてもらっている。「せっかく試合に出られるんだから頑張れと」。

毎週試合のある女子ツアーで、交通費、宿泊費、キャディフィなど必要経費は大きく、予選落ちを続ければあっという間に貯金は底をつく。金銭面だけ見れば、チャンスとリスクはまさに表裏一体だ。

コース関係者には「優勝したら焼き肉に連れて行く約束をしている」とのことだが、まずはレギュラーツアーで活躍することが何よりの恩返しとなる。地元の京都から駆けつけた応援団のエールも追い風にし、自身もびっくりの好発進。目いっぱいの感謝と新たにつかんだ自信をかみしめながら、山本亜香里は初の賞金を目指す。(兵庫県三木市/塚田達也)

塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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