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「10年後に何をしているかが勝負」 川崎春花の原点・大阪学院大高ゴルフ部

阪急京都線・正雀駅(大阪府摂津市)から歩いて10分ほどの線路沿いに大阪学院大高ゴルフ部の練習場はある。電車の音をかき消すように、部員のかけ声「せーのっ!」で準備運動が始まった。女子プロゴルファー川崎春花の原点だ。

川崎は2022年シーズンに新人として9月のメジャー「日本女子プロ選手権」でツアー初優勝。10月「マスターズGCレディース」で2勝目を挙げ、新人賞も獲得した。

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1990年創部のゴルフ部は現在、3年生が引退し、男子12人、女子6人の計18人が所属する。シーズン中は週6日練習に励む。練習場ではショットを2時間、残り1時間を走り込みなどのトレーニングに費やす。

主に男子を担当する阿久根公生監督(65歳)は「学院は“軍隊”みたいだと言われることもある」と苦笑い。この日もドライバーショットに練習が切り替わるときに部員から「ドライバー!」「ハイ!」と大きな声が飛んだ。

文武両道を目指し、男子はテストで赤点(40点以下)だと練習場周辺の草むしりを行う。「勉強しないとゴルフもうまくならない」と仮に追試となると、練習ではなく勉強に集中させる。

「第一に人間形成。ゴルフがなんぼ強くても、人間がつまらなかったらプロになってもスポンサーはつかんし、誰も応援せん。10年後、20年後に何をしているかが勝負。今が良くても意味がない」

男子のキャプテンを務める柴田晨之介さん(2年)は高校から競技を始め「将来的にゴルフを生かしていければ」。女子のキャプテン山田萌香さん(2年)は「プロゴルファーが夢。世界のツアーで戦いたい」と目を輝かせた。

打ち込み後に男子は10km、女子は5kmの走り込み。阿久根監督は「地区大会ではバッグを担いで回ることもある。パワーがないと。最終的に足腰がないとスイングが安定しない。走り込みしかない」と練習の意図を説明。川崎もランニングで足腰を強化してきた。

川崎の強さについては「集中力が違うのかな。自分が練習しているときは近寄らせないオーラがあった。邪魔するな、話しかけるなと。練習の中でオンオフをしっかりとつけていた」と当時を思い返した。京都から通っていたこともあり、居残り練習は控えめだったという。

川崎の恩師で女子を主に担当する富宿高明監督(63歳)は「高校の部活としてやっているわけで、気持ちをひとつにすることが大事」。個人競技としてスコアを競い合うことが強調されるゴルフだが、在学中の3年間はチームとしての一体感も大事となる。(編集部・玉木充)

玉木充(たまきみつる) プロフィール

1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。

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