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“アドバイス”もOK 石川遼が描くフューチャーツアーの未来

ゴルフは競技において、キャディを除く人物にアドバイスを求めること、与えることを規則で禁じている(ゴルフ規則8-1、違反の罰はマッチプレーではそのホール負け、ストロークプレーでは2打)。しかし、この“ツアー”ではそんな御法度にはローカルルールで目をつむる。コンセプトが本来のゲームとは異なるものだからだ。

日本男子ツアー選手会会長の石川遼は就任初年度の今年、ツアー外競技として「フューチャーGOLFツアー」を立ち上げた。男子ゴルフ再興のため“地方の可能性”を探り、大相撲の巡業をモデルとしたミニツアーを発案。西日本豪雨で延期された7月の広島&岡山大会を手始めに、8月に新潟で、そして12月に埼玉の森林公園GCで2日間競技を開催した。

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埼玉縣信用金庫が主催した今大会は初日、10人のプロと、予選会を通過したアマチュア60人が参加した。プロの2日間36ホール競技の“前半戦”と、アマの団体戦を兼ねた独特のプロアマ戦(アマチュアは3人1組で18ホールをプレー。うち9ホールを1人のプロと回る)。石川が「将来、本当にうまく行けば(PGAツアー)ペブルビーチのプロアマみたいにできないかなと思っている」という夢のベースになるものだ。

そして2日目はさらにユニークな形式を採用した。埼玉県内の中高生20人が参加し、プロ1人を含めた3サムでラウンドした。石川とプレーをともにした、女子ツアー出場経験もある埼玉栄高1年・岩井千怜は「すごく楽しかったし、プロはこんな球を打つんだと圧倒されまくりでした。普段の練習でも本番を想定してやった方がいいよと教えてくださいました」。もうひとりの同組選手、埼玉平成高3年の篠崎勇真はパットでタッチを合わせるためのアドバイスをもらい、試合中に慣れ親しんだクロスハンドから順手に変更した。

また、プロのキャディは地元埼玉の正智深谷高のゴルフ部員が務める独自のシステム。女子部キャプテンの和田純怜(2年)は1週間前に石川のキャディバッグを任されることが決まり、「ずっとドキドキが止まりませんでした」。プロのマネジメントを体感し「プロは上り、下り、エッジまでの距離、センターまでの距離…としっかり細かく計算して打つ」と緻密さに驚くと同時に、逆目のアプローチの打ち方も教わったという。

ジュニア選手のキャディは大会のルールで父母を中心とした家族が担った。これにも狙いがある。日本の各地区ゴルフ連盟などが主催する大会では、ほとんどのコースで安全面や管理の面から父兄が観戦できるホールの数が限られていることが多い。ゆえに多くの親御さんがスコアだけで、子どもたちのプレーを判断しがちだという。

指導が過剰になると、委縮した子どもたちのスコア“改ざん”につながるという話も聞く。育成段階で重要視されるべきは結果よりもプロセス。それを間近で観てもらうことで「普段、お子さんがどれだけ難しいことをやっているか、ゴルフの難しさ、こんなに頑張っているんだなというのを思ってほしい」という石川の思いがある。

一方でジュニアを率いたプロも、ツアープレーヤーという立場を改めて認識させられる機会だ。「彼らの反応が純粋なのがありがたい。『あんな球の飛び方は見たことがない』と言われた。ゴルフを突き詰めてやってきて良かったと思える瞬間だった」と石川はうなずいた。「僕もジュニアの頃にジャンボ尾崎さん、中嶋常幸さんの弾道を見たときの衝撃を今でも覚えている。瞬間で彼らの(成長の)材料になっているのは刺激的です」

フューチャーツアーの各試合は、アマチュア(スポンサー)のもてなし、ジュニアの育成という側面とともに、各大会がいずれ下部AbemaTVツアーや、レギュラーツアーの試合に“昇格”する可能性をさぐるきっかけになることを目指している。来年度も継続の意向で「(試合形式も)いろんなパターンをやってみたいなと思う。大会に協賛してくれる方の意向も聞きたい。何パターンもある中から、僕たちから提案をして、開催する方に選んでもらう。ルールについても、“フューチャー”に関しては柔軟に対応していきたい」。頭に描く未来は、ひとつひとつ具現化していく。(埼玉県寄居町/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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