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「グリーンキーパーの地位」を2019年日本OP会場で考える

2018/08/29 14:42

次はどのコースへ?「どこも行かんよ」

「キーパーは芝のお医者さん」と青木さんは語る。それほどの専門職ゆえ、米国ではグリーンキーパーの給料はゴルフ場の従業員の中で最も高いといわれる。「全米オープン」や「全米プロ」など、メジャーを開催するキーパーが、別のコースからヘッドハンティングされることが珍しくない。日本ではどうか。賃金も劣る。「2008年の日本オープンの時、アメリカ人から『青木さん、次はどこのコースに行くの?』と聞かれました。『どこも行かんよ』と答えると、『どうして?』と向こうは驚く。それほど文化も違うんです」

本来、管理者をまとめるキーパーは「統括をする“監督”。作業前にコースをチェックして指示を出す」のが職務だそうだ。「それが日本では自分も作業に出なければならないほど(ゴルフ場の数に対して)人が足りない」。キーパーが“選手兼監督”のままでは、一歩先には進めないという。

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笑えるようで、笑えない話を明かしてくれた。約20年前、ベテランの名キーパーが国内屈指の名門クラブに呼ばれて管理スタッフになった。当地のグリーンはたちまち見違えるように素晴らしくなったという。青木氏はその人物に「何をしたんですか?」と聞いた。「返ってきた答えがね、『変わったことはしとらん。毎日グリーンの芝を刈っただけ』と…。つまり、そのコースは、それまでグリーンの芝を毎日は刈っていなかったということなんですよ」

芥屋のマクダニエルさんの仕事ぶりを讃えて言う。「彼独自の素晴らしいノウハウもあるでしょう。ただ、アンドリューは当たり前のことを、当たり前にやった。その積み重ねだと思う」。農作物が良い土壌や水で生まれるように、演者は素晴らしい舞台で輝く。ゴルファーも良いコースで育つ。それを作り上げるためには、地味でも丁寧な作業の連続があり、職人たちのプライドが刻まれていなければならない。そのためにはキーパーという職業の認知度の高まりが欠かせないと強調する。「待遇も良くなければ人は集まらない。一方でキーパー側にも問題がある。コースのこと、芝のことを専門家として理路整然に説明できる必要がある。ゴルフ業界全体の問題」と人材育成ができる環境作りを訴えた。

今度は1Wで 11年前とは違う日本オープンに

古賀GCは来年10月、11年ぶりに「日本オープン」を開催する(今年は神奈川・横浜カントリークラブ)。前回、片山が口にした「フェアなセッティングだった」という言葉を青木さんは誇りに思いつつ、「まだあの時も私の中では60点だった」と厳しく自己採点する。

2008年大会は通算1アンダーで優勝した片山もそうであったように、厳しいラフを警戒し、キャディバッグから1Wを抜いてプレーするトップ選手が続出した。その中で、1Wを振り回して2位に入った当時プロ1年目の石川遼の活躍ぶりが特筆された大会だった。

来年は当時とは異なる戦いを予想する。「ここ4、5年の3オープン(日本ゴルフ協会主催の男子、女子、シニアオープン)は、選手にただ辛抱させるのではなく、バーディを奪って競わせようという基本的な考え方がある。前回とは違い、ドライバーできっちり打った選手が優勝できるセッティングにしたい」と予告した。

「好スコアがかなり出るのでは…という心配の声はありますけど、古賀GCの別の難しさ、メンバーも分からなかったところを、選手たちが引き出してくれる大会になってくれれば」。ゴルフコースの支配人に着任した生粋の芝職人。11年前とは違う、シャツとジャケット姿でトップゴルファーを待っている。(編集部・桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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