首位と3打差以内に25人 松村道央は粘り勝ちの予選突破
2015年 ハッサンIIトロフィー
期間:03/26〜03/29 場所:ゴルフ・ドゥ・パレロイヤル(モロッコ)
岩田寛 欧州でシャイボーイは通用したか?
プレーしている本人も大きなショックを受けたに違いないが、それは見ている方も同じだった。欧州ツアー「ハッサンIIトロフィー」初日に、岩田寛が1ホールを残して棄権した。なぜあと1ホールできなかったのか?なぜ翌日プレーできなかったのか?首痛はあったに違いないが、1ホール残して辞めた意味は決して小さくはないと思う。
振り返れば、プロアマ戦から兆候はあった。練習日から吹き付けた強風は、日本では競技中止になるのでは?と思われるほど。ただでさえ、大きなうねりを持ち、狙う幅の限られたグリーンを捉えるのは難しいが、それに強風が加われば、“綺麗なゴルフ”をすることはほぼ不可能だ。とはいえ、プロアマ戦でともに回った欧州の紳士方を驚かせたのは、岩田が後半多くのホールで、球を途中で拾い上げてしまったことだった。
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同伴競技者に申し訳ないという気持ちがあったのかもしれない。また、プロアマはチーム戦のため、別のアマチュアのスコアがカウントされ、ゲームは問題なく進行される。だが、シャイな岩田の性格を知る由もない彼らの目に焼き付いたのは、執着心のない、1打をおろそかにする、外国から来たひ弱なプロゴルファーの姿だった。
プロゴルファーとして、「80」や「90」というスコアが許せないという気持ちは分かる。だが、それは本人たちが思うほど、見ている方が好奇のまなざしで捉えるかと言えば違うと思う。「なんだ、そんなに大叩きしたのか。へたくそだなぁ」ではなく、「プロでもそんなスコアになるほど難しいのか?」「いったいどうしたんだろう?怪我や問題でもあるのかな?」といった受け止め方が大半だろう。
むしろ、そんな困難に立ち向かって、1日、2日とラウンドを続けたプロには尊敬すら覚えてしまう。プライドは傷付くかもしれないが、人としての強さが発揮される場面だと思う。
世界ゴルフ殿堂入りを果たしているレジェンド・青木功は、友人との遊びゴルフですら決して手を抜かないという。1打でもそういう球を打ってしまうと、試合でも同じショットが出てしまうから、常に目の前の1打に全力投球。プロとしての心構えが日常から違っている。
過去の出来事は、しょせんは過去のこと。いつまでも引きずる必要はさらさらない。岩田には是非ともまた来年、ここモロッコに来てリベンジをしてもらいたい。(モロッコ・アガディール/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka