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「俺は引退?」38歳が見せたドン底からの逆転劇

「俺はこのまま続けて行けるのか?通用するのか?引退すべきじゃないのか?」

この夏、サム・ウォーカーがこのように自問していたというのは、信じ難い話しである。何しろ、彼は今、人生で最も好調な時期を送っているのだから。

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怪我と不調により、一児の父親は、まだプロフェッショナルとしてゴルフをすることに対し、十分なハングリーさを持ち合わせているのかどうか、疑問に思っていた。この8月、38歳の彼はヨーロピアンチャレンジツアーの大会に出場すべく、フィンランドへと向かった。それを最後の勝負と位置づけて。

その決断は吉と転び、彼はその後のシーズンで2勝を挙げたほか、トップ10入りを4度果たし、ヨーロピアンツアーへの復帰を決めたのである。

「この夏、僕はあと少しで引退するところだった」とイングランド出身のウォーカー。「養う家族がいるのに、お金を掛けてチャレンジツアーで転戦することが続けられなくなっていて、別の収入が必要だったんだ」。

「僕は友人と練習レンジを始め、そこでコーチとして働こうかなと思っていたのだけど、正直言って、その考えに傾き始めていたんだ」。

「そうしたら、人からフィンランドでプレーしてみないかと言われたんだけど、ずっと怪我をしていたので、やれるかどうか不確かだったんだ。それでも、土壇場で下した決断が奏功し、あそこで勝つことができたんだ」。

「あれは僕にとって大きなターニングポイントとなり、結果として、ここ数ヶ月は僕にとってそれまでとはかなり違う展開になったんだ」。

「全てがピッタリはまったんだ。ドライビング、チッピング、そしてパッティングと、全てが良くなり、勢いが雪だるま式に増していったんだ。それまでより、全てのことが簡単に感じられるようになった」。

「そして、『ロレックストロフィー』で(初日に)10アンダーをマークしたのだけど、自信が日に日に深まっていくように感じたね」。

「ランキングは上がり続け、皆が、あと1勝すれば(ヨーロピアンツアーの)シード権が確保できると言い始めたんだ。それをカザフスタンで本当に達成できたのはとてつもなく大きかったし、あれは自分でも誇らしい瞬間だったよ」。

「今は天にも昇る心地だし、ヨーロピアンツアーでのプレーが待ち切れないね。今、自分は断然良い選手になったと感じているし、来季何をすべきなのかしっかり分かっているんだ」。

プロスポーツ選手としてのキャリアは、ウォーカーにとって半ば既定路線だった。彼の兄ジョシュは、マンチェスター・ユナイテッドの選手名鑑に載ったこともある元サッカー選手であり、彼の父トムは、イングランドのフットボールカンファランス(イングランドアマチュアサッカーの最高峰)でプレーした経験を持っている。また、彼の従兄弟のトム・ホワイトハウスはヨーロピアンツアーでのプレー経験を持つゴルファーである。

これだけ優れたスポーツの血統に生まれただけあって、ウォーカーもジュニア時代はイングランド随一の選手の一人として知られていた。

「6歳のとき、叔父がクラブをくれたのでゴルフを始めたんだ」とウォーカー。「裏庭でやってみたんだけど、スイングし始めるや否や、ゴルフに取り付かれたね」。

「10歳でハンディが1になったのだけど、誰かが父に、『あいつは才能を秘めている』と言ったことがあり、僕らは更に前進することにしたんだ。11歳のときに、史上最年少でイングランド学生チームに選出され、全試合で勝ったんだ」。

「それからというもの、大会へ招待されるようになり、イングランドのプロゴルフ界の扉が徐々に開いていったんだ」。

「子供の頃は、セベ・バレステロスリー・トレビノ、それにジャック・ニクラスといった偉大な選手全員に憧れていたね。彼らにはすごくインスパイアされたし、彼らの凄いプレーを見ると、すぐにコースへ行って真似したくなるんだ」。

ヨーロピアンツアーへ復帰した今、ウォーカーは彼のヒーローである“ゴールデンベアー”にように、40代でも最高のゴルフができるということを証明したいと熱望している。



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