ウェントワースを制したベセリンが2勝目/「BMWインドア招待」最終戦
バーチャル大会2勝 “リアル”で初V目指すべセリンの近況報告
今回の選手ブログでは、ウィル・ベセリン(オランダ)が「BMWインドア招待」での成功や、如何にしてロックダウンをポジティブに乗り切ったか、そして最高レベルで競い合う準備ができたと感じている理由について語ってくれた。
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このところ、多くの人にとって困難な時間が続いているけれど、僕はこの時間をポジティブに捉えるように努め、いつもは移動を続けているこの時期に楽しめないことをエンジョイするようにした。
幸運なことに、室内練習施設は自宅からわずか10分のところにあるし、友人が今年の初めにトレーニングスタジオを建てたので、僕らはそこで日中に何時間か過ごすようスケジュールを組んだんだ。通常、それらの場所では午前中に練習し、午後は子供たちの学校に関する用事や、家のことを片付けていた。僕はこの新しいスケジュールが気に入ったよ。これまでより子供と多くの時間を過ごすことができたし、毎日子供を寝かしつけたり、一緒に朝食を食べたりすることができたからね。文句は言わないよ。今、この時間を受け入れ、エンジョイするのは重要なことだし、またすぐに忙しくなるから、時間がある時にやれることをせずに後悔はしたくないんだ。
毎日シミュレーターで練習できたことで、これまでと違うやり方で自分のゴルフを維持し、向上させることができたとも思っている。ヨーロピアンツアーが「BMWインドア招待」の開催を発表した時には、既に毎日2時間、シミュレーターで練習していたので、参加を即決したんだ。
もちろん、実際にボールが飛んで行くところは見られないけれど、自分がしたことに対する反応は確認できるからね。数字を参照しながら練習することができたし、スピードアップを果たすこともできた。練習レンジのモードでは、何にでもターゲットを設定できるイカしたオプションがあり、18ホールを30分でラウンドすることもできるから、室内で過ごすには最高の場所だったんだ。メンタル面を維持する上でも役立ったし、バーチャル大会で5戦2勝を果たして締め括ることができたのは楽しかったね。
バーチャル大会でのプレーは、僕ら全員にとって新しいことだったから、誰もが右も左も分からない状況だったけれど、あれはとても楽しかったし、ツアー、トラックマン、そしてBMWによる皆の人生における奇妙な時期での素晴らしい取り組みだった。環境はかなり異なっていた。ギャラリーはいないし、自分は室内にいて、周りには誰もおらず、他の選手がどんなプレーをしているのか皆目見当もつかないので、とにかく毎ホール、バーディを奪うつもりでプレーするんだ。最終的には、他の選手の結果待ちということになるのだけど、競技ゴルフに近い状況で2勝できたのは良かったね。
最初の3週に関しては、既にトラックマンのシステムにコースが入っていたので、開催コースで何度かプレーすることができたのだけど、最難関のバルデラマやウェントワースでは、実際のコースでもシミュレーターでもプレーしたことがなかったんだ。最終戦で勝ったとき、実はウェントワースを2回プレーしたんだ。最初は午前中に練習ラウンドで12アンダーを出したのに、大会では7アンダーだったから、十分なプレーができなかったと感じて、イラッとしたね。でも、バーチャルとはいえ楽しかったし、とてもリアルだった。それに、他の選手に勝ちたいと思うのも当然のことだよね。
バーチャル大会での成績については、室内で練習できたことがとても幸運だったけれど、ゴルフコースは再開し、天気も良いので、今は室内ではなく、また外へ出て良い時間を過ごしている。
冬の転機
また大会でプレーできる6週間を楽しみにしている。観客がいないので、他の大会とは違うけれど、これまでの状況とくらべれば、外へ出て、大会で他の選手たちとプレーできるのは、素晴らしいスタートだと思う。
自分にとって、これまでは長い道程だった。これまでずっと順調だったわけではなかった。プロになって長い時間を過ごしてきたし、長いこと苦しんできたけれど、常に自分はこの世界でやっていくのに十分良い選手だと信じてきた。それが実現しないと、そう思うのは難しくなる。良いプレーができていなかったり、自信を失っていたりすると、事態が改善するのか悪化してしまうのか分からない新たな取り組みを試すのが怖くなるし、僕はより良くしようとするのを怖がっていた。
僕は2017年から18年にかけての冬に自分のルーティンを変え、2カ月ほどそれまでと環境をガラリと変えて練習したんだ。考え方や行いなど、全てを変える必要があったし、また前へ進む上で新たな取り組みが必要だった。ゴルフをやめる寸前まで行ったとは言わないけれど、実際に考えたこともあったし、あの冬の取り組みにより、自分はゴルファーになるために生まれてきたと認識することができたし、自分はまだ終わっていないと感じることもできたんだ。以来、断然ゴルフをエンジョイすることができるようになったね。
12月のレオパルドクリーク(開幕戦の「アルフレッド・ダンヒル選手権」)での3位タイはかなり大きかった。ここ数カ月間、僕らは過去を振り返る時間が増えたわけだけど、僕はあの大会について色々なことを考えているんだ。あの週の「アルフレッド・ダンヒル選手権」ではとても落ち着いていたし、勝てると感じていた。残念ながらその通りにはならなかったけれど、あの時のプレーや感触により、それまで長い間失っていた最高のレベルでプレーできるという自信を取り戻すことができたんだ。
その数カ月前に「KLMオープン」で7位に入ったことで、本格的に勢いづいたんだ。あれで「アルフレッド・ダンヒル選手権」に出場できたし、中国ではチャレンジツアーの大会で優勝しそうになった。あれは奇妙な数週間だった。Qスクールでプレーしてシード権は得られず、香港は中止となったので、これで2019年は終わりかと思ったところで、南アフリカで最後、あるいは最後から2番目の出場枠を手にすることができたんだ。
あの週は精神的にベストのゴルフがプレーできた。準備万全という手応えはあったのだけど、そんな状況はこれまでなかったので、かなり妙な感じだった。日曜はとても良いプレーができたけれど、単に運がなく、勝てない運命だったんだ。ヨーロピアンツアーであそこまで勝利に近づいたのは初めてのことだったので、僕にとって大きな一歩だった。
抱く確信
チャレンジツアーで18位に入ったので、15大会に出場できるのは分かっていたので、今季はヨーロピアンツアーに焦点を合わせたいと思っていたし、あの大会の様な成績でスタートを切れたのは大きな一歩となった。残念ながら、今は6月で、物事はかなり変わってしまったけれど、僕はとても前向きなままでいるんだ。好調だった時のまま再開を迎え、あんな週を送ることができれば最高だし、いつか優勝できればと思っている。それが主な目標であり、これからも自分に必要なことをこなして行けば、それが果たせると自信を持っているんだ。
ゴルフに関しては、精神的にも肉体的にも恐らくこれまでで一番良い状態にあると思う。先月は本当に楽しむことができたし、これからのシーズンを楽しみにしている。物事の見方や感じ方を変えないように努めてきたのだけど、それはシミュレーターで練習し、家に居続ける間、ポジティブな気持ちを維持する上で大きな助けとなった。調子は良いし、健康だし、ゴルフは良い状態にあるんだ。
トップに上り詰める選手は、いとも簡単にそれをやり遂げているように見えるけれど、そうではないんだ。既に自分もその場所にいるとは言わないけれど、自分はこれまでにないほど、その場所に近づいていると思うし、これまでの自分の道程や僕を支援してくれた人々をとても誇りに思っている。いまの状況は居心地が良いんだ。良い時間を分かち合うのは素晴らしいことだし、これがもっと続けば良いと思っている。