全英オープンの作り方/競技委員・山中博史のロイヤルリザムレポート<5>
2012年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム&セントアンズGC(イギリス)
A.スコット首位発進 ウッズ、マキロイ、武藤俊憲らが3打差6位タイ
◇海外メジャー◇全英オープン初日◇ロイヤルリザム&セントアンズ(イングランド)◇7086ヤード(パー70)
2012年の海外メジャー第3戦が好天に恵まれて開幕。アダム・スコット(オーストラリア)が「64」をマークし、6アンダーで単独首位スタートを決めた。1打差の2位タイにポール・ローリー(スコットランド)、ザック・ジョンソン、ニコラス・コルサート(ベルギー)。さらに1打差の4アンダー単独5位にブラント・スネデカーがつけている。
<< 下に続く >>
トップから3打差の3アンダー6位タイにタイガー・ウッズ、アーニー・エルス(南アフリカ)のほかロリー・マキロイ、(北アイルランド)、バッバ・ワトソンら8人。メジャーを制した数々のビッグネームの中に、武藤俊憲が5バーディ、2ボギーとして名を連ねた。
その他の日本勢はメジャー初出場の藤本佳則が1オーバーの54位タイ。ともに午後にスタートした谷口徹と小田孔明は2オーバー80位タイとした。4年連続の出場となった石川遼は終盤に5連続ボギーを叩くなど精彩を欠き「74」で4オーバーの115位タイ。その他の日本勢、藤田寛之は6オーバーの143位タイ、高山忠洋と市原弘大は7オーバー150位タイと出遅れた。
<アダム・スコット、好発進の裏にあった意識改革>
今年のマスターズでは「75」、全米オープンでは「76」。「守りに入りすぎていたというより、むしろ我慢し過ぎていた」とメジャー大会での初日のプレーを振り返るスコット。「だから今日は、初日の1番ホールを最終日最終ホールのつもりでプレーすることにした」と意識を変えた。「1番ティからスイッチオンで、数ホール様子を見るようなことはしなかった。それが大きな違い。特別良いショットが打てたわけではなかったけど、最初から自分のやっていることに集中していた」と、スタートから飛び出した。
前半を3バーディ、1ボギーで折り返すと、後半も16番までに5つのバーディを奪って通算7アンダーに。メジャー大会では過去誰も「62」というスコアを記録したことが無いが、ここロイヤルリザム&セントアンズはパー70の設定。あと1打までその記録に迫っていた。
「ああ、誰も62を出したことをないのは知っていた。17番ティでトイレに行こうとした時にリーダーズボードを見て、パー70だったことを思い出した。そして、自分が62を出せるんじゃないかって意識した。こういう考えは持たない方がいいから、すぐにその考えを頭から消したんだけど、残念ながら最終ホールで落としてしまったね」。
それでも、コースレコードに並ぶ「64」で単独首位に立ったスコット。苦手だったパターも「劇的に改善した」と自信をのぞかせる。この貯金を活かし初メジャー奪取へと挑む。