【WORLD】トム・レーマン ジム・フリックの心からの助言を受け感謝の優勝
Golf World(2012年11月8日号) texted by Bill Fields
5打差リードで迎えた最終ホールのティグラウンド。トム・レーマン逆転されることなど気にも留めなかった。米国チャンピオンズツアーの今季最終戦「チャールズ・シュワッブ・カップ選手権」。彼は友人であり、師匠であり、そして膵臓がんの末期患者だったジム・フリックのことを気にしていた。レーマンは、82歳のフリックがカリフォルニア州カールスバッドの自宅でトーナメント中継を観ていてくれていると信じていたのだ。そうであると望んでいたのだ。
試合後のレーマンは「ドライバーを打つ時は、これが彼が見る最後のティショットになるかも知れないから、ナイスショットにしようと思っていたよ」と話した。「また、最後の7番アイアンのショットも、やっぱり最後だと思ったから良いショットにしたかった。そして最後のパット、あれは決めたかった。本当は(2位に)6打差をつけて終えたかったんだ。彼のためにもね」。
ティショットは、レーマンの代名詞でもあるパワードロー。スコッツデールにあるデザートマウンテン・クラブ・コチセコース18番のフェアウェイ左サイドの完璧な場所に運ばれた。511ヤードのパー5で放った7番アイアンのセカンドショットも素晴らしく、ピンから7メートルに。イーグルチャンスにつけたが、パットはわずか右にそれた。「グッドパットだった。まあ、いつも決められるわけじゃないからね…」とレーマン。
イーグルを逃したことで、レーマンが望む形でフィニッシュはできなかったが、1990年のデザートマウンテンから共にしてきた師匠、フリックを失望させる理由などない。ジェイ・ハースに6打差をつける通算22アンダー258での圧勝は史上初の快挙へと導いた。それはシュワッブ・カップのシーズンを通じたポイントで、2年連続でトップ(100万ドルを獲得)となったこと。さらに2005年のトム・ワトソン以来となるシーズン最終戦とポイントレースの優勝を同年に飾った選手にもなった。
レーマンは、今季20試合中17試合でトップ10になっていたベルンハルト・ランガーに211ポイント差をつけられ、自宅近くのこのデザートマウンテンにやってきた。そして優勝することでタイトル奪取となることも分かっていた。今季は序盤にリージョンズ・トラディションでも優勝しているレーマンは「今年は調子が良かった。自分がそうしたいときに良いプレーができたことは、非常にラッキーだしありがたいこと。良いプレーをしたいときにできない、なんてことはいくらでもあるのにね。今週は良いプレーがしたくて、本当にできた週だった」と振り返る。