【WORLD】中長尺パター狂騒おさらい アンカーパターの行方
Golf World(2012年12月10日)texted by E Michel Johnson
USGAとR&Aが、称賛と非難を一瞬で引き起こすロングパターとベリーパターの“使用禁止”を提言した。問題は、次に何が起こるかということだ。
2012年7月にロイヤルリザム&セントアンズで開催された「全英オープン」。最終ホールでアーニー・エルス(南アフリカ)が5メートルのパットを沈め、直近メジャー4試合中3試合の王者がベリーパター使用者となった翌日、R&Aは大会終了後に恒例の記者会見を行い、アンカーパター(クラブの一部を身体に固定するパター)の話題が即座に提起された。
「できるだけ早く解決する必要があるこの問題について、熟考が重ねられていることを我々は評価しています」と語ったのはR&Aのチーム・エグゼクティブを務めるピーター・ドーソン。「我々からのこの問題に関する発表は、一年というわけではなく、この数カ月でできると思いますよ」。
そして11月28日、ドーソンは、USGAエグゼクティブ・ディレクターのマイク・デービスと共同声明を発表。アンカータイプパターを使用禁止にするルールを提案したのだ。しかしそれは、ベリー(中尺)やロングパターの使用禁止にするということではなく、グリップか手が“直接”身体にアンカー(接着)しているか、もしくは身体にアンカーポイントがあることを禁止するというものだった。
両組織では、最終決定を下す前に、その後3カ月にわたりゴルファーや業界からのコメントを求めている。スケジュールに変更がないと仮定すると、両団体がこの規則を承認するのは春になる模様。そして、2016年1月のルールの公式改定からアンカーさせたストロークは禁止となるはずだ。
デービス氏は、「今回の問題は二極化していました。何年も両サイドで真剣にこの話題を話し合い、決定を先送りしてきました。そして最近は対立が激しくなり、特に昨年から大きくなったのです」と話す。
シャフトが長いパターは1930年代においても、いくらか使われてきた。しかしロング、そしてベリーパターはこの2年間のPGAツアーで15勝を達成。その中には2011年全米プロのキーガン・ブラッドリー、2012年全米オープンのウェブ・シンプソン、そして2012年全英オープンのエルスが含まれる。デービス氏はまた、1980年代から2000年代中盤にかけて、ツアーでのベリー、ロングパター使用者は全体の3~4%のプロにとどまっていたが、2011年には突然これが11%になり、12年は15%にまで跳ね上がったというデータを示した。
「我々は、これがパッティングにとどまらず、どこまで進むのか神経質になっているのです。チッピングでもアンカーを利用する選手も出始めています。こうなると、もはやゴルフではなくなってしまう」と、デービス氏はこの問題がツアーの流行りによるものだけではないとしている。実際のところ、アメリカン・ジュニア・ゴルフ協会(AJGA)によれば、5000人中、おおよそ2%に当たるジュニアがロングかベリーパターを使用しているそうだ。そして、「アジアパシフィック・アマチュア選手権」では14歳のグァン・ティンラン(中国)がベリーパターを使用し優勝。マスターズ出場も決めたのだ。