女子プロの“足元事情最前線” シューズ選びの基準は? シェアは? スパイクレス? ボア?
18ホールを4日間連続で歩き、傾斜で踏ん張り、何百回というスイングを支えるゴルフシューズは、プロにとっては何なら14本のクラブ以上に大事なギアだろう。ドライバーやボールほど注目されない、そんな足元事情について徹底的に取材してみた。
シェアはどんな感じ?「FJ」と「ナイキ」の2強
関係者の話を総合すると、近年の女子ツアーでは、試合によって割合は変わるもののフットジョイ(FJ)がトップシェアを維持している。その下にナイキ、ニューバランス、アディダスなどが続く。FJの人気の理由は、軽量性を重視したモデルから安定性を追求したものまで品ぞろえが多く、選択肢が豊富なことにあるようだ。
「大東建託・いい部屋ネットレディス」の練習日に、FJの新作「クオンタム」(2代目)のフィッティングが行われていたので、その様子を観察してみた。メーカーが「雲の上の履き心地」とうたう同シリーズは、軽くて足入れが柔らかいシューズで、FJの中でも女子プロに最も人気のあるモデルのひとつだ。その最新作とあって、ブースには多くの選手が足を運び、履き心地を確かめていた。
初代モデルを愛用する吉川桃は、「以前、スパイクが合わなくて疲労骨折したことがあって。それからいろいろなメーカーを試しましたが、いちばん足に合ったのがフットジョイのクオンタムでした。いつもゴルフシューズは履き慣らしてから試合で使うイメージがありましたが、これは履いてすぐ試合で使えました」と信頼感を語る。最新モデルについては「前作よりソールがフラット。地面を感じやすくなった印象です」と評価した。
7月初旬「資生堂・JALレディス」で初優勝を飾った倉林紅もまた、「履いた瞬間、芝の上を歩いているような感覚になりました。足になじむフィット感の良さと軽さがあって、全然疲れなさそう。なおかつグリップ力もあるので、すごくいいです」と好感触を口にした。
同社のプロダクト担当によると、2代目「クオンタム」はアウトソールを中心に設計を刷新。前足部の安定感やグリップ性能を高めることで、スイング時の踏み込みやすさを向上させた。一方で、かかと部には高いクッション性を維持し、長時間歩くツアープロの負担軽減にも配慮。さらにフィット感も見直され、シューレースの締め方によってホールド感を細かく調整できる仕様となっている。
意外と多い「スパイクシューズ」&「レース」
現地で女子プロの足元を観察していると、いくつか驚いた点があった。意外だったのは、ナイキ契約の女子プロ全員がレースタイプ(靴紐式)を選んでいたこと。同社担当は「選手自身が好みで選んでいます」と言う。選手に話を聞くと、締め付け具合を調整しやすいことに加え、試合中にワイヤーが切れたり、ダイヤルが故障したりといったトラブルの心配が少ない点などを理由に挙げていた。
もうひとつの驚きは、シューズの裏側。一般ゴルファーの間ではスパイクレス需要が加速しているが、ツアープロには依然としてスパイクモデルを支持する声が多い。例えば、ナイキユーザーではスパイクが7割、スパイクレスが3割という比率だった。
山路晶は、まさに「スパイク×紐」のひとり。ナイキの少し幅の広いモデル「ペガサス 1」を履いている。「外反母趾なので、すぐに足が痛くなって疲れることが多いんです。でも、このシューズはそれがない。大事なのは、とにかく試合期間中に痛くならないこと」と、ワイズの広さがシューズ選びの決め手になっている。「なおかつスパイクのおかげで滑りにくいので、スイングの不安も一切ない。それと、足を全体的に均一に締めたいので、紐タイプであることも譲れません」と、こだわりポイントも話してくれた。
同じくナイキを履く阿部未悠は、「自分は足幅が狭いので、少し細めのナイキのシューズがすごくフィットします」と同社のスパイクレスシューズを選択。「靴の中で足が動きすぎるのが苦手なので、このフィット感が好きです。あまりソールが高すぎるのも好みではないですし、軽くて歩いていて疲れにくいのもいいですね。(スパイクレスでも)滑ることもなく十分プレーできます。昔はスパイク派でしたが、このスパイクレスならグリップ力は十分です」と語った。
ルーキーの伊藤愛華は、自身のスイングとの相性を理由にニューバランスのスパイクモデルを愛用している。「私は踏ん張りが強いスイングなので、スパイクレスだと滑ることが多かった。最近はスパイクタイプを履いています」と、「Fresh Foam X 2500v5」を選ぶ。「履いた時のフィット感があって、安心して踏み込める。それが気に入っています」。
ミズノの未発表モデルの存在も
さらに取材を進めると、ミズノの新しいシューズも発見した。真新しい白いシューズを履いた稲垣那奈子は、同社の未発表モデルについてこう話す。「ソールが厚すぎず、でもしっかりクッション性もある。ショットする時も安定して回りますし、デザインもかわいいです」。すでに数試合前から投入しており、「私はパターを(打つ際、グリーンを)足で感じるタイプなので、底が厚すぎないのもいいですね」とも話した。
足裏でグリーンの傾斜を読むエイムポイントリーディングを使うとあって、足裏の感覚を生かしてくれる新作シューズは早くもお気に入りのようだ。ちなみに稲垣はスパイクとスパイクレスを併用していて、スパイクを履く機会が多いという。
一昔前は「安定感=重いシューズ」というイメージがあったが、近年は軽量性やクッション性を維持しながら、高いグリップ力やホールド感を実現するモデルが数多く登場していた。女子プロのシューズ事情、また折を見て情報をお届けしたい。(編集部/仮屋美遊)