新パターのデビュー戦だった10勝目 松山英樹のクラブ選びがストイック
2024年 フジサンケイクラシック
期間:08/29〜09/01 場所:富士桜CC(山梨)
藤田寛之の手に話題のパター「クラフツマン」 アレ?松山英樹のヘッドと色違い?
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 事前(28日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)
6月「全米シニアオープン」でプレーオフの末2位となり、直近で出場したレギュラーツアー「横浜ミナトチャンピオンシップ」では堂々の予選通過。3日目を終えて20位と奮闘するなど、55歳になった今も健在ぶりをアピールしている藤田寛之。富士桜の練習グリーンでパット練習を行う手には、いつものスコッティキャメロンとは少し違うタイプのモデルが握られていた。
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カメラを構えレンズをズームにしてヘッドをアップにすると「おや?どこかで見たことあるぞ」。いま話題の「クラフツマン(Craftsman)」ではないか。トウが反り上がった独特な形状、ネックの溶接、いかにも特注感満載のヘッド。名前を聞いてピンとくる方も多いだろう。そう、松山英樹がPGAツアーのプレーオフシリーズから投入し、いきなり優勝を飾ったパターだ。ただ、松山のクラフツマンとは微妙に色味が違うから、また興味をそそられる。
練習後の藤田をつかまえて話を聞いた。「松山の試合を見ていたら“アレ?このパター自分も持っているぞ”ってなって。ネックのところが溶接してあるけど、自分のはどうなんだろうって確認したら、同じ溶接でした」と言うから、やはりキャメロンの特注品。家のパターマットですぐさま球を転がした。「このヘッドはすごくキレイにスクエアに見えるんですよね。カオを見て思い出しましたが、当時はフェースが左を向いていないかとか、トウが反っているかなど、とにかくフェースが真っすぐ見えるのが欲しい時期でした」とクラフツマンが初めて手元に来た時の記憶がよみがえった。
ソールに「バレット(弾丸)」と呼ばれる穴が空いているのが特徴のパターでもある。「その効果はちょっと分からないですが、若干なんかこうインパクトで反響するような雰囲気はあります。打感はモチっとしている」。気になる色味は「クロマティックブロンズ仕上げ」(スコッティキャメロンのパター担当)というもので、松山のヘッドの仕上げとはまた違って、銅がかった風合いのある色味。そんな特別感も使い手の心をくすぐるのだろう。「こういうのは旬なものですからね。その時の旬のものっていうのを食したり試したり感じたりするのは大事じゃないですか」とパットの名手も話題のパターを使ってみたくなったわけだ。
実は今週、エースパター「ニューポート2 GSS プロトタイプ」を家に忘れてきてしまったという。バッグにはサブパターのブレード型(ニューポート2)とクラフツマンの2本しか入っていない。藤田はエースも含めた3本の違いを説明した。「サブパターはちょっとフェースがかぶっていて、クラフツマンは逆に少し逃げ顔。そしてエースがこの中間で、スクエアからややつかまる側」。つまり今週はつかまるパター(サブ)か、逃がすパター(クラフツマン)のどちらかで戦うということ。「自分のストロークの感覚で、インパクトでスクエアに戻った時に、そこにしっかり出球が出るかどうかでどちらにするか選びます」。水曜日のプロアマ戦ではサブパターでラウンドしていたが、「つかまってしょうがないってなったら(投入も)十分にあります」とクラフツマンを使う可能性も示唆した。
世界に数本しかない(であろう)、スコッティキャメロンのクラフツマン。おそらく入手は非常に困難だろうから、今週富士桜で目撃した人は、そのレアなパターの姿を目に焼き付けておいたほうがイイ。(山梨県河口湖町/服部謙二郎)