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<佐渡充高の選手名鑑 131>カミロ・ビジェガス

2014/08/27 10:00

■ スパイダーマンからスーパーマンへ

レギュラーシーズン最終ウィンダム選手権はドラマが待っていた。優勝したカミロ・ビジェガス(32)はトロフィーを誇らしく天に掲げ、その目は涙で潤んでいた。4打差あった強豪ニック・ワトニーを大逆転し、4年5か月ぶりに快心の勝利。グリーン上でアクロバティックなポーズをとり、芝生目線でラインを読むスタイルから「スパイダーマン」の愛称で呼ばれてきたが、今回のプレーは通常スタイル。しかしこの勝利は「スーパーマン」に変身するきっかけとなりそうだ。世界ランクは254位から一気に142スポット上昇し、112位へ(自身最高位は12位)。ポイントランクも37位に急浮上し、30位までが参加できるプレーオフシリーズ最終戦まで望みを繋いだ。長いトンネルを抜け、自信を取り戻した彼のキャリア第二章が大いに期待できそうだ。

■ 父を追ってゴルフ+サイクリング

ビジェガスは1982年1月7日、南米大陸北西、ペルーの北にあるコロンビアのメデジンで生まれた。ゴルフ人口2万人強、ゴルフコースは60あまりが点在する。育った実家の近くには4コースと9ホールのコースが1つあり、父フェルナンドがプレーしていた影響で3歳の時に興味を抱き、6歳から本格的にスタートした。父はミドルクラスで農業を営んでいるが、モトクロスの選手でナショナルチャンピオンでもある。母ルイーズ・マリナ、弟マヌエルの4人家族で、弟は兄と同じ足跡をたどり同じ大学に留学、そして南米ツアー、下部ツアーで腕を磨きPGAツアーへの昇格を目指している。

ビジェガスはプロ転向後に、父の影響で本格的にサイクリングをはじめ、自宅のあるフロリダ州で同好会にも所属。「ウィンダム選手権」優勝の2週間前に、8か月ぶりに里帰りして400マイル(643.73キロ※東京大阪は約556キロ)を走破した。メデジンは標高約1500メートルの盆地で相当ハードだったと思うが、強靭な脚力はさらに強化され、気持ちのモヤモヤも一気に晴れたという。

■ 鮮烈デビュー&衝撃ヌード

高校を卒業後ゴルフの名門フロリダ大学に奨学生として留学。成績が落ちると奨学金をカットされるので、勉学、ゴルフともに誰よりも励んだ。大学のエースとして活躍、8勝を挙げチームにも貢献した。2004年に卒業してプロ転向を果たすと、同年6月にはコロンビア人として初の「全米オープン」出場を果たした。2005年には無資格で下部ツアーに参戦しながらも、賞金ランク13位の活躍で翌2005年のPGAツアー出場権を獲得した。2006年のルーキーイヤーは序盤から大活躍。「フェニックスオープン」2位、次戦の「フォード選手権」でも優勝争いし、急きょコロンビアのテレビ局が現地入りして、初めてゴルフがコロンビアにライブ中継された。実はその時間帯は母国サッカーのナショナルチームの試合の放送予定だったが、それを突然変更するほどの出来事だった。ビジェガスは優勝を逃したものの、2位タイに入る大健闘。母国は大いに湧き、彼の引き締まった身体、長髪をなびかせ躍動する姿は世界のゴルフファンをも魅了した。

ラテン系のイケメン選手登場!とメディアでも話題沸騰で、米週刊誌ピープルやファッション誌GQでもホッテスト・バチェラー(ホットな独身アスリート)として表紙を飾った。2010年にはスポーツ誌ESPNマガジンでは、スパイダーマンスタイルをなんと、全裸で披露した(その後、同誌でゲーリー・プレーヤーもヌードで登場)。柔軟で彫刻のように美しい肉体に改めて驚いたのだった。

初優勝は2008年の「BMW選手権」。同大会は1899年にはじまり、世界で3番目の歴史を誇る伝統の大会だ。2勝目は2週後の「ツアー選手権」でトップ30人しか参加できないエリート大会で、ビッグトーナメントで次々に優勝を飾り、その名を世界に轟かせた。

■ 苦しみ抜いた6年を経て

変化が訪れたのは2008年だった。10月18日に叔父のエルネスト・ビジェガスが射殺されたのだ。叔父はコーヒーの貿易業を営んでいて、会社の金を持ち去ろうとした2人のギャングに飛びかかり悲劇が襲った。故郷はかつてメデジン・カルテルという犯罪組織の本拠地で知られていたが、まだまだ治安は安定していなかった。叔父はカミロの名付け親であり、突然の訃報にカミロは深い悲しみに沈んだ。

翌2009年の9月に行われた「ザ・バークレイズ」初日に、右手首痛でデビュー以来初の棄権。2010年は心機一転、長髪をバッサリ切って臨んだ。同年3月の「ザ・ホンダクラシック」でツアー3勝目を挙げたが、その後は一進一退。11月にはキャディのブレッド・ウォールドマンが下部ツアーに合格し選手に転向したため、2011年のシーズン開幕から新キャディと挑んだが、初戦からルール違反で失格した。パットの不調、腰痛発症で棄権も強いられ、スパイダーマンスタイルも断念。初めてランク125位から外れ、シード権を失った。昨年3月歴代チャンピオンとして出場した「ザ・ホンダクラシック」初日に単独首位の好スタートを切っていよいよ復活かと思われたが、2日目にまさかの7オーバーで予選落ちを喫した。しかし彼にはどうしても今季中に復活を果たさねばならない理由があった。フロリダ大学ゴルフ部監督で恩師のバディ・アレキサンダーが今季限りで引退を表明していたため、「ウィンダム選手権」で勝って、なんとかギリギリで引退の花道に勇姿を届けることができたのだ。胸に刻み込んだ勝利、決してあきらめない気持ちが彼を再起に導いた。

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佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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