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2011年 BMW選手権
期間:09/15〜09/18 コグヒルGC(イリノイ州)

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第十二回】

アメリカツアーで有名なホールを教えてください。

■ ペブルビーチの7番(パー3)

ティグラウンドにもよりますが、だいたい100ヤード前後にセットされます。海の方に向かって打ち下ろすコースなのですが、風が吹いていなければ、あれほど簡単なコースはないですね。ウェッジで普通に打てば、プロゴルファーでなくても、一般上級者なら、10回ラウンドすれば半分くらいはパーが獲れるでしょう(笑)。でも向かい風や横風が吹くと難度が一変します。1992年、トム・カイトがこのペブルビーチの全米オープンを勝っているのですが、その最終日のあのホールを、5番アイアンか6番アイアンで打っていました。打ち下ろしの100ヤードのホールをですよ。普段170~180ヤードを飛ばすクラブを、100ヤードに満たないコースで使わなくてはいけないこと自体、異常なコンディションなわけです。とにかく風に負けないようにスピン量を減らし、フルスイングはしない。距離を合わせなければいけないので、5番、6番のクラブで低い球の打ち方をしなくてはなりません。でもカイトはピンに寄せることはできませんでした。このホールの平均ストロークはもちろんオーバーパーだし、風次第でホールの難度が劇的に変わる面白いホールです。

「風はゴルフ最大の財産」という名言があります。これはアメリカゴルフコース設計の父と言われる人物、チャールズ・ブレア・マクドナルド(1855~1939)が残した言葉です。風って一見いやなものですが、風があるからゴルフは面白い。風がなければクラブ選択で迷うこともないですし、どんな球を打つかを考えることなくショットできますからね。風と言えば全英の風を想像する人も多いでしょう。1日のうちに四季まではなくとも、夏以外の三つの季節があると言われています。秋と春なら最高ですが、大半は冬です。雪、ひょう、雨も全部降ります。ペブルビーチもいつもどんよりとした感じで涼しい気候です。場合によっては雨も降りますし、寒い日もあります。イギリスに比べれば条件は良いほうですが難しいんですよ。西海岸は「ウェットウィンター、ドライサマー」と言われ、夏は一転してからっとした気候です。同コースでは、1月の終わりから2月にかけて「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」という大会が開催されますが、試合自体が中止になったことや延期になることもあったほど、その試合の時期に雨が多いですね。また18番ホールも有名です。フェアウェイ左が海で、潮が満ちている時は波が音を立てる。天気の良い日には、あざらしやラッコが、側でプレーを見ていたりして(笑)。風が吹くと荒々しいけれども、本当に美しいホールです。

■ ドラールの18番(パー4)

TPCドラールのブルーコース。別名“ブルーモンスター”と呼ばれるほど難しいホールです。左サイドにウォーターハザードがあって、ちょうど選手のティショットが落ちる270ヤード地点は、池が食い込んできており、フェアウェイが狭くなっています。そのため、270ヤード前後の飛距離を持つ選手にとってはとても難しい・・・それ以上飛ばせば、フェアウェイはだんだんと広くなっています。(短いクラブで刻む人はいなかったのですか?)それをタイガー・ウッズがやったことがあるんです。タイガーは世界選手権になる前の2006年「フォード選手権」時に勝っている。そのときタイガーには2打差のリードがあったのですが、ティショットにドライバーを使いませんでした。結構強い向かい風で、恐らくタイガーのパワーをもってしても、270ヤード地点は越えないだろうと判断しました。そこで3番アイアンでティショットを運び、8番アイアンでの第2打はフェアウェイの広いところへ、そして第3打を乗せてボギーにして勝ったのです。すごい戦略でしたね。あれは解説していても予想できませんでした。池はグリーン手前にも張り出しているため、ティショットでも、セカンドショットでもそのハザードに捕まってしまう可能性は高いホールですから、あえて3打目でグリーンを狙う戦略だったのでしょうね。平均ストロークは4.5くらいなので、2人に1人はボギーにするっていう数字ですよね。そのティグラウンドの右横に、「非常に難しいフィニッシングホールである、GOOD LUCK!」と書いてあるんですよ。それがまた憎い演出ですよね。プレーヤー心理をかき立てて、心を乱す。ホールを難しくしている要素の一つかもしれないですね。

■ オーガスタの13番(パー5)

実際に自分がプレーをして印象に残っているのは、オーガスタの13番ですね。うまくいけば、2オンが可能、だからチャレンジングホールなんですよ。あそこは本当に強いドローボールを打たないとフェアウェイにいかない。軽いドローボールでは右に突き抜けてしまいます。やはりティショットを成功させたときの快感はたまらないものがありますね。「これで2オンが狙える」ってね。そういうチャンスを生むようなティショットを打てるということが、楽しみでもあり快感なんですよ。

■ TPCソーグラスの11番(パー5)

ほとんどまっすぐなのですが、軽い左ドッグレッグのコース。セカンド地点からサード地点の右サイドに池が広がっています。だから右サイドのフェアウェイが途切れてしまうんです。ティショットが成功すれば2オンを狙えますが、失敗すると、刻まなければなりません。フェアウェイが左右狭くなっているので難しく、パーが獲れなくなってしまう・・・なので、ティショットをミスするといっそう難度の高いホールになってしまいます。このホールも、オーガスタの13番同様、ティショットを成功させれば2オンのチャンスが生まれてくるので、とても気合が入りますね。右に縦長のバンカーがあり、その横が池。池に入ってもいいから、2オンを狙えるシチュエーションに持って行きたいというホールです。そしてグリーンは奥が高くて、手前が低くなっています。さらにグリーン左はグッとえぐれたかたちをしており、全体的に小さいのでのせるのも難しい。ピンが奥に切られた場合は、手前にのせてしまうと、そのえぐれたところを越え、さらに段を上らなくてはならない非常に難しいパットが残ってしまいます。グリーン右サイドは深いバンカー、さらに左サイドは、グラスバンカーのようになっています。ここに球を運んだ場合、寄せるのが難しい。寄せようと思ってグリーン方向に打っても、今度は池に向かって傾斜があるので球が止まりにくくなっているんです。人間の心理として池が見えると怖くなって左に外す、そういうメンタル面にも効くような面白さがありますね。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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