2022年 アーノルド・パーマー招待byマスターカード
期間:03/03〜03/06 場所:ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)
昨シーズン新人王ザラトリスを後押しする2022年の用具変更
PGAツアーの昨シーズン新人王、ウィル・ザラトリスがワールドクラスのボールストライカーであることは、単純にして明快な事実である。若くてしなやかな25歳は、現在PGAツアーにおいてアプローチ・ザ・グリーンで首位に立っている。そして、ティ・トゥ・グリーンのストローク・ゲインドで3位、ドライビングディスタンス(312.8yd)で16位にランクインしている。
ザラトリスは「アーノルド・パーマー招待」に、PGAツアーの新人王にあたるアーノルド・パーマー賞の直近の受賞者として出場した。彼はパーマーの大学の後輩であり、アーノルド・パーマー奨学金で入学したウェイクフォレスト大学でカレッジゴルフをプレーした。
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PGAツアーの大会創始者との、そうした特別なつながりから、我々GolfWRXは今こそ、彼のバッグの中身をのぞき込み、2022年に成功した2点の用具変更について掘り下げる絶好のタイミングであると考えた。
ザラトリスは今年1月に6位と2位フィニッシュを果たし、PGAツアーメンバーとしての本格的なフル参戦1年目のフェデックスランキングで25位につけている。
その舞台裏の情報を得るべく、我々はタイトリストのツアーレップであり、アマチュア時代からザラトリスと緊密にギアに関する仕事をしているJ.J.ヴァンウェゼンベックに話を聞いた。
昨季PGAツアーでブレークした際、ザラトリスは精度を重視し、短尺にしたロフト角9度のタイトリストTSi3ドライバーを使用していた。大抵の場合、ドライバーは短い方が、より確実にフェースの芯でボールをとらえやすくなる。
しかしながら、ここ最近のゴルフスイングの向上により、2022年シーズンを前に、ザラトリスはヴァンウェゼンベックにドライバーを長くして飛距離アップを図るための相談を持ちかけた。
より長尺のドライバーを試打する過程で、ヴァンウェゼンベックとザラトリスは、長くしたことでクラブ全体の重量が増えすぎないよう、シャフトの重量を軽くする必要性を認識した。さらに、彼らは長さとヘッドスピードが増したことから、ロフト角を調整し、打ち出し角とスピン量を抑えなければならなかった。
そのため、彼らはドライバーの長さを45.625インチに伸ばした際、シャフトをフジクラのスピーダーTR757から、約10g軽量のスピーダーTR661に変更した。また、打ち出し角とスピン量を抑える観点から、TSi3ヘッドのロフトを9度から8度に変更した。これにより、ザラトリスは制御できないほどの重さと向き合ったり精度を犠牲にしたりすることなく、初速と飛距離アップを実現した。
ドライバーを長尺にすることによる飛距離アップを目指すアマチュアゴルファーも、全体的な重量調整の必要性は覚えておくべきだろう。
このドライバーの変更がザラトリスにとって奏功しているのは明白であり、彼自身、すぐにドライバーを替えることはないだろうと述べている。
「言うまでもなく、彼は去年、それまで使っていたロフト9度のTSi3ドライバーで多くの成功をおさめたわけだけど、我々はコントロールを重視し、彼のドライバーを短くしていたんだ。でも彼はスイングが大幅に向上したので、伸びしろについて興味をそそられたんだ」とヴァンウェゼンベックはGolfWRXに述べた。
「(今週)彼と話をしたのだけど、『こいつはしばらくバッグから抜かないよ。ドライバーは絶好調なんだ。僕はこれを使い続けるよ』と言っていたね」
ザラトリスのボールストライキングにポジティブな影響を与えたのは、ドライバーの変更だけではなかった。多様性と一貫性の両方をもたらした新しいクラブをアイアンセットに加えたのである。
4番から9番アイアンはタイトリストT100モデルを使用しているが、3番アイアンはより寛容性の高いT200モデルを使用している。
同じくPGAツアーのスター選手であるジョーダン・スピースも使用するT100アイアンは、精度と寛容性の両方を求めるプレーヤー向けの複合素材キャビティバックアイアンである。アドレスでの見た目がT100と似ているT200アイアンは、さらに寛容性を高めつつ、高弾道と飛距離アップを実現するモデルとなっている。
ヴァンウェゼンベックによると、ザラトリスは過去に3番アイアンで十分な弾道の高さを出すのに苦労したことがあったという。しかし、T200がその問題を解決した。
「彼が初めてT200で打ったとき、弾道は高くなっていたし、初速も少しだけ上がっていた。彼はそれらを少し抑えて、操作することもできるんだ」とヴァンウェゼンベック。
「これにより、打てるショットの幅がかなり広がったね。初めて彼とリビエラで仕事をした際(2015年「ジェネシス招待」)、まだ大学生だった。彼に3番アイアンで6度以上の角度で打ち出させるのが、我々にとっての挑戦だった。彼はかなりの角度で打ち込んでいたんだ。ヘッドスピードは速かったけれど、あまりにダウンに打ち込んでいたので、我々は“どうやったら高い弾道のショットを打たせることができるというんだ”みたいな感じだったんだ」
「彼はかなり上手なアマチュアから本当に素晴らしいプロフェッショナルへとスイングを変貌させる上で、信じられないくらいの努力をしたね。今の彼のフェースコントロールと、狙った所へボールを運ぶ能力には感銘を受ける。彼がなぜワールドクラスの選手になったのかを説明しているね」
こうしてみると、ザラトリスがPGAツアーにおける重要なスタッツでトップに立っているのも驚きではない。彼はスイングを改善させつつ、用具も自分のゲームに合うように調整したのである。
ザラトリスは2022年も再び躍進するべく、ギアを上げている。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)