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イ・キョンフンは松山英樹のメジャーVに感動「たぶん、次は僕が」

韓国から日本ツアー、米下部ツアーを経由し辿り着いたPGAツアー。イ・キョンフン(韓国)は5月に待望の初優勝を挙げた。PGAツアーの選手自身が執筆するスペシャルコラムシリーズは2020―21年シーズンに悲願を成就させた選手にスポットライトを当てる。8月に30歳になったイ自らその喜びと道のりを記した。

■父と米国を旅して辿り着いた初優勝

5月の「AT&Tバイロン・ネルソン」で初優勝したとき、一番うれしかったのは両親からのビデオメッセージだった。

僕がゴルフを始めたのは13歳のとき。練習場に行く父について行ったのがきっかけだ。友人たちに比べるとクラブを握ったのは遅いが、その場でいきなりレッスンを受け、インストラクターもたくさん励ましてくれて夢中になった。

スイングをインストラクターの方にほめられることが僕の自信につながり、「もっと頑張ろう」という気持ちにさせてくれた。母はバイオリンの先生で、僕にも教えようとしたけれど、音楽のほうはうまくいかなかった。母に1つの曲を10回練習するように言われても、僕は集中せずデタラメに弾いていた。けれどゴルフは違った。純粋に楽しくて、何時間でも練習場にいられた。

18歳で韓国のナショナルチームに入った。一番の思い出は2010年「アジア大会」で団体金メダルを獲ったことだ。最高の瞬間だった。あの経験は平坦な道のりではなかったといえる。なぜなら、メダルを獲ることを期待され、僕たちにはものすごいプレッシャーだったからだ。

練習ラウンドでは調子がよくなかったが、大会が始まると僕たちは自由にプレーして、プレッシャーなんて感じなかった。チームワークが功を奏し、金メダルを獲ることができた。ゴルフは本当におもしろいスポーツで、状態が悪いと思っても、すぐに調子が戻ることがある。

父は僕のゴルフ人生において本当に大切な存在だ。毎年冬には海外遠征に一緒に行き、試合に出るときは車を運転してくれた。母は家業のレストランビジネスをするために実家を守り、2016年にコーン・フェリーツアーでプレーする時は父が一緒に米国に来て僕を支えてくれた。アメリカで本物に近い韓国料理やアジア料理のレストランはなかなかないから食事で父親が困っていたけどね。米国滞在中に父が歯を抜かなくてはいけなかったときはかわいそうだったな(笑)

実は父自身は子どもの頃に野球選手になりたかったが、両親に反対されてあきらめたという。やりたいことができなかったから、父は息子の夢を応援しようと心に決めてくれた。新型コロナ禍でしばらく会えていないが、一人っ子の僕は彼らにお礼を言っても言い足りないくらいだ。

■感動した松山英樹のマスターズ優勝

「AT&Tバイロン・ネルソン」の優勝でこれまでの苦労と犠牲が報われた。米国に来て5年が経ち、僕の夢はいつも世界最高峰のツアーで優勝することだった。自分がリードして18番グリーンに歩いて行く時は感情的になったし、自分との戦いに勝てたことがうれしかった。

最高の思い出はチェ・キョンジュさんがその日はプレーしていなかったにもかかわらずグリーンサイドで待っていてくれたことだ。祝福してくれてハグしてくれた。チェさんは僕らの励みになる存在で、僕が優勝できると言い続けてくれた。その言葉はつらい時期には力強かった。将来は彼のように若手の韓国人選手を応援したい。

優勝したことで、翌週の「全米プロゴルフ選手権」に初めて出場できた。予選落ちしてしまったけど、50歳にして大会で優勝したフィル・ミケルソンと練習ラウンドができたのは光栄だった。

それまでフィルには会ったことがなく、彼がどんな練習をするのかを学び、彼のゴルフ愛を間近で見ることができて本当に良かった。一打一打に情熱を注ぎ、50歳にしてルーキーのようなエネルギーを持っているのが信じられない。僕は自分がシニアになったらゴルフに飽き飽きしている様子を想像できるが、フィルは純粋にゴルフを楽しんでいた。

僕もフィルと同じくらいゴルフが大好きだし、彼のようになれたらと願っている。最高の選手とプレーできるチャンスがあると、もっと良いプレーをしようと駆り立てられる。トップゴルファーがPGAツアーで戦いたいと思う理由のひとつはこれだ。トップ選手のメンタリティを洞察できるのは素晴らしいことだと思う。

以前、僕には人生で2つの目標があると言った。1つは世界ナンバーワンプレーヤーになること、そしてもう1つは「世界で一番セクシーなゴルファー」になること!

優勝してから、多くのゴルファーとファンがこの話をおもしろがってくれている。僕に獲っての「セクシー」というのは「男らしい男」という意味だ。でも僕は、食べることが大好きだから無理かもしれないな。お昼に食べ過ぎて、夕飯は食べないようにしようと思ってもおなかは空くんだよね。

松山英樹選手が「マスターズ」で優勝したのはとても感動した。お互いにアマチュア時代から一緒にプレーしてきて、彼のことも知っているからとてもうれしかった。彼はとても謙虚でとにかく練習をする。努力家で、彼の優勝は僕を含めて他のアジア人ゴルファーのモチベーションを上げてくれた。たぶん、アジア出身選手で次は僕がメジャーで優勝する。

目標を達成するためにはメンタル面も、フィジカル面においても努力し続ける必要がある。次に優勝するのが待ち遠しい。僕を支えてくれる人々、両親をもっと喜ばせたい。

情報提供:PGA TOUR

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