PGATOURライターズ厳選・2014年ハイライト(2)デュビッソンのサボテンショット
2014/12/23 06:00
By D.J. Piehowski, PGATOUR.COM
私がこれまで実際に目にした「最高」のショットは2011年、ロリー・マキロイがぶっちぎりで「全米オープン」を優勝した日曜日、コングレッショナルの10番でホールインワンを達成しそうになったショットである。
しかし実際に目にした中で最も「驚愕」「想像不可能」「あれは物理的にどうして可能なんだ」というショットを今年、アリゾナ州マラナで目撃した。この話の最も秀逸なところは、そのショットが2度もあったということである。
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メディアの一員にとって、「WGCマッチプレー選手権」の素晴らしい点の一つに、日曜の午後になると注目すべき選手がたった2人に絞られる、というのがある。通常のトーナメントであれば、日曜のバックナインに入ると、大概記者はメディアセンターに缶詰となり、テレビ中継で複数の組を追わなければならなくなるが、そこへ行くとマッチプレーでは何も見逃すものがない。全ての出来事は1組のツーサムに集約し、そば歩きながら全てのショットを見守ることができる。
日曜のダブマウンテンでビクトル・デュビッソンがバックナインに入って猛チャージをかけ、ジェイソン・デイにエクストラホールを強いたのもその一例だ。2人が19ホール目(パー4の1番)に差し掛かったとき、ロープの内側の観客はロープの外側にいるギャラリーと同じくらいの数に膨れ上がっているかに見えた。
そこにはテレビやラジオのコメンテーター全員がいたし、多くの審判員、スポンサー関係者、そしてその家族たちがいた。PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチェムまでもが試合の結末をその目で確かめようとコース内を歩いていたが、その結末はデュビッソンの2打目がグリーンを超え、サボテンの群生する茂みに入ったことにより、やってくるかに見えた。
ところが、ロープの内側にいた人間でさえ、誰もあのデュビッソンが放った次のアプローチショットを言葉で表現できなかった(恐らくそれは、誰もが説明し得る言葉を持ち合わせていなかったからであり、デイでさえ笑いながら首を振っていた)。
サボテンとテレビのケーブルの中から放った低いパンチショットはピン側3メートルに寄り、彼はパーをセーブした。ゴルフコースにおいて言葉を失ったことなどこれまでそう何度もあったわけではないが、その思いこそが、当時私がひねり出した唯一の体をなした言葉である。
続くホールで見せた2度目の“サボテンショット”は更にその上を行くものだった。似たような状況からのパンチショットはピンハイにつき、勝負をさらに延長させたのである。
10年後の私は、ジェイソン・デイが結局はこの勝負を制し、WGC初優勝を果たしたということを覚えているだろう。しかし、20年後、私の記憶の中でより色鮮やかに映るのは、私が呆然とアリゾナの藪の中に立ち尽くし、ぼんやり携帯と、そして私の「何が起こっているんだ?」というツイッター投稿を眺めている情景である。
私はまだ一つとして、そのツィートに対する合理的な回答を得ていないのだ。