松山英樹×石川遼対談Round1 世界6位への道筋と揺るぎなき自分
松山英樹の2016年総括 「もっとワガママに」芽生えた自信
年間5勝。10月の「日本オープン」から一年を締めくくる直近5試合で4勝。松山英樹は2016年終盤のゴルフ界を席巻した。日本勢初のメジャー制覇を多くのゴルフファンに予感させる活躍ぶり。それを支えたのは、秋に芽生えた「揺るぎなき自信」だった。GDOが企画した石川遼との対談でシーズンを振り返り、松山が自ら明かした。
米ツアー本格参戦3年目となった2016年は、2月の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で早々に優勝したが、「シーズンの中盤戦はもうちょっとやれたのでは」という思いがあるという。6月以降「全米オープン」、「全英オープン」とメジャー2大会連続で予選落ち。復調したのは7月末の「全米プロゴルフ選手権」以降だった。改造を模索したスイングのイメージを元に戻すことできっかけをつかんだが、終盤戦の大躍進の理由はそれだけではない。内面には確実な変化があった。
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松山は言う。「最近は『自分はできるんじゃないか。やるべきことができれば、結果はついてくるんじゃないか』と思えるようになった」と。10月に中国・上海で行われた「HSBCチャンピオンズ」では2位に7打差をつける圧勝でアジア勢初となる世界選手権制覇を遂げた。「上海(HSBCチャンピオンズ)もそうだった。他の人どうこうじゃなくて『自分がやりたいことを貫き通せばできるんだ』というのを、ちょっと思ってきた」。
もともとは「マイナス思考」で、周囲からの期待が高まることに、以前は困惑すらあったという。「みんなに『もっとできるでしょ?』と言われたり、高い評価を受けたとき、前は『いや、おれ無理だよ』って思ってたんですけど…。それを最近は逆に『できる』と思い込んだ方がいいのかなって思い始めた」。世間の見方を少し受け入れることで、高めてきた技術の表現力を向上させた。
2016年の最終戦となったのは世界のトップ選手がそろった12月のツアー外競技「ヒーローワールドチャレンジ」。大会ホストのタイガー・ウッズから、4日間主導権を握り続けた勝利を称えられ「言葉では表せないくらい嬉しかった」と感慨に浸った。ウッズが「ダンロップフェニックス」出場のため来日した2002年、小学生だった松山は父と宮崎県まで観戦に訪れ、胸を躍らせた。憧れのスーパースターに近づきたいという誰もが描く夢を、14年の時を経て現実にしてみせた一年となった。
今シーズンを振り返る記者会見で松山は、来年のメジャー制覇について問われ「勝てる準備を頑張りたい。結果を僕も楽しみにしているし、皆さんにも楽しみにしていてほしい」と話した。「人に合わせるんじゃなくて、もっとワガママに、自分を基準にしてやったほうがいい」――。松山からほとばしる自信。それは絶頂期のウッズをもほうふつさせる。来年4月「マスターズ」を迎えるときの心境は、過去5度の出場時とはまったく違うはずだ。(編集部・桂川洋一)