ニュース

米国男子の最新ゴルフニュースをお届け

中嶋常幸のオーガスタチェック/マスターズ

Hole 10番~Hole 18番

■ Hole 10番 Camellia(椿)495ヤード パー4

飛距離の出る選手だと、ティショットは3番ウッドでドローを打ってきますね。ランディングエリアがダウンヒルなので、ボールが前方に転がってくれるから、これでセカンドショットも6番、7番アイアンで行けるのです。辛いのは、飛ばない選手が右にいってしまった時。どうしても長いクラブを使わざるを得なくなります。3番や4番アイアン、場合によってはウッドを使うことも・・・。ですから、このホールの攻略ポイントは「精度の高いドローボール」が打てるかどうか。これを実現すれば、ある程度距離の短いホールに変えられますが、逆に精度が低くて右にこすったようなボールになってしまうと、恐ろしく長いセカンドが残って難しくなりますね。

■ Hole 11番 White dogwood(白ハナミズキ)505ヤード パー4

ここはついに500ヤードを超えましたね。昔はストレートなホール、といっても過言ではなかったんですが今は違います。右後方へティグラウンドが35ヤード下がったことで、軽い右ドッグレッグのイメージになっています。これにより、フェアウェイの左サイドへボールが飛ぶ確率が高くなっていますね。右には、200ヤード付近に高い木がありますから、簡単には飛距離の出るフェードが打てない。ですから、中央より左サイドにボールが止まることが多くなります。そうなると、池越えのセカンドショットになってプレッシャーも強くなる。今回の距離延長で、飛ばない選手にとっては恐ろしいホールに変わったと思います。セカンドはロングアイアンで打てるかどうか・・・。ウッドで狙う選手も増えてくると思いますし、ショットの精度が要求されます。

<< 下に続く >>

■ Hole 12番 Golden Bell(レンギョウ)155ヤード パー3

155ヤードと今の時代では短いパー3ですが、このホールには「世界一の難しさ」が隠れています。それが強風です。ひとたび、風速6メートル以上の風が吹いたら、その方向も一定していないので、まさに「世界一の難ホール」に変貌しますね。その理由は、右に行くに従って距離が長くなるホール形状にあります。通常、右打ちの選手がアイアンを打った場合、右方向へのボールは飛距離が落ちるんです。ですから、池に入る確立が非常に高くなってしまう。しかし、これを嫌ってつかまった(左方向へ)ボールを打てば、今度は左のグリーンオーバー、または土手まで飛んでいく・・・。そういうシーンが昔から良く見られました。逆に言えば、風がない時はチャンスホールになりますね。とにかく「風が吹くか吹かないか」がキーポイントです。

■ Hole 13番 Azalea(ツツジ)510ヤード パー5

ここは2002年の改修時にティグラウンドが後ろに下がり距離が長くなりました。タイガーなら、ティショットは、ややドロー系のボールで攻めてくるでしょう。これで傾斜のあるフェアウェイを上手く使う感じです。ですから、フェード系のボールが得意な人は、やや攻めづらいかもしれません。プレッシャーになるのは左のクリーク。ここにボールを入れてしまうと、ドロップしても次のショットでグリーンが狙えない。右にレイアップするしかないんです。また、あえてセカンドでグリーンを狙わない攻略方法も見られますね。例えば、ピンが真中奥や左サイドに切ってある時には、クリークの右サイドにボールを置いてアプローチで寄せる。逆に右サイドにピンが切ってある場合には、飛ばない選手だとフェアウェイ左サイドにレイアップして攻めるんですね。

■ Hole 14番 Chinese(もみ)440ヤード パー4

すべてのパー4やパー5において言えることなのですが、風向きで選ぶクラブが変わってくるんです。ドライバーもあればアイアンもあるという感じで・・・。このホールも例外ではありません。例えばタイガーなら、強いアゲインストが吹いていなければ、3番ウッドでドローボールを打ってくると思います。飛ばない条件、いわゆる雨や風などが重ならない限り、ドライバーは使わないと思いますね。それでセカンドは、7番か8番アイアンあたりで攻めていく。一般的な選手だと、5番などのミドルアイアンが中心になるでしょうね。もちろん、飛距離の出ない選手だとロングアイアンもあり得ます。ですから、グリーンの左斜面から転がして右サイドに寄せていくようなショットを、使う選手が増えてくると思います。

■ Hole 15番 Firethorn(トキワサンザシ)530ヤード パー5

ティグラウンドが後ろに下がって、従来よりも30ヤード距離が長い、530ヤードになりました。これは単純に考えても、タイガーでさえ、セカンドショットを2番手長いクラブで打たなくてはいけない状況ですね。例えば昨年の最終日、このホールでタイガーは左のラフからグリーンに乗せ、イーグルチャンスにつけました。ところが、今年は同じティショットの位置からでは「止まるボール」が打てないと思うんです。そうなるとセカンドショットで、手前の池のプレッシャーに加えて、グリーンオーバーの危険性も高くなります。とにかく、使うクラブが変わることによって、前後のプレッシャーが増えてくるんですね。ですから、従来よりも精度の高いロングショットが打てないと、スコアを作っていけないと思います。

■ Hole 16番 Redbud(アメリカハナズオウ)170ヤード パー3

ここは従来と変わってませんね。最近では、最終日に左サイドの奥へピンが切られることが多いんです。これにより、いわゆるサービスホールになりますね。ホールインワンを見せたいというか・・・。フィニッシュへ向けての大きなドラマ性をもたせていく、ひとつのアクセント的なホールだと思います。左の池も、そんなにプレッシャーにはなりません。一般的な選手なら、6番から8番あたりの番手で打てますし、飛距離の出ないプレーヤーでも5番あたりで狙えます。大勢のギャリーが見守っている中で「さあ、寄せてみろ!」と言われているような、まさに「舞台」のようなショートホールだと思いますね。唯一の注意点は、グリーン右奥から左への強いスロープ。これにより、右サイドにピンが切られた時は、難しくなりますね。

■ Hole 17番 Nandina(ナンテン)440ヤード パー4

従来から、飛距離の出る選手以外は、ランディングエリアがアップヒルで、差がつきやすいホールだったんです。しかし、25ヤード距離が伸びて、ティグラウンドが後ろに下がったことで、飛ばす選手もアップヒルにボールが落ちるようになると思いますね。長い距離が残るから、今まではあまり影響の無かったアイゼンハワーツリーが、多くの選手にプレッシャーを与えるでしょう。当然ながら右の木も、邪魔になってくるはずです。また、距離が長い分だけ、右の手前(バンカーを超えた地点)にピンを切られても、寄せるのが相当難しくなります。飛ばない選手だと、セカンド地点からは、グリーンの面が見えない状況にもなるでしょうね。今までに比べると、かなり難易度が高くなっていると思います。

■ Hole 18番 Holly(西洋ヒイラギ)465ヤード パー4

中央に見えるバンカーに向かって、99パーセントの人間はドライバー。残り1パーセントの人が3番ウッド。右ドッグレッグなので、風が左サイドから吹いてピン位置がグリーンの手前の時は、セカンドがフォローに感じるのでバーディが狙いやすくなります。右から風が来たときには、すごく難しいホールになるので、タイガーといえどもティショットはドライバーで打たなければならない。さらに、グリーンも奥の段にピンが切ってあると難しいね。上の段にボールを乗せてボール止める技術。それもいままで以上に長い番手でやらなければならないので、相当難しいですよ。僕らが出ていたころは、3番ウッドでバンカー方向を狙っていくことも出来たけど、今はそういう迷いはないと思います。

中嶋常幸
1954年生まれ
日本タイトルの4冠達成者。マスターズにも1984年から10回以上出場

関連リンク



あなたにおすすめ


特集

宮本卓×GDO 旅する写心
ゴルフフォトグラファー宮本卓×GDOのスペシャルコラボコンテンツ。国内外のゴルフ写真を随時更新中!!
やってみよう! フットゴルフナビ
サッカーとゴルフが融合した新スポーツ「フットゴルフ」の総合情報サイトです。広いゴルフ場でサッカーボールを蹴る爽快感を、ぜひ一度体感してみよう!

ブラインドホールで、まさかの打ち込み・打ち込まれ!!ゴルファー保険でいつのプレーも安心補償!