終盤5ホールで5アンダー シェフラーがグリーンマイル制圧でメジャー3勝目へ
◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 3日目(17日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7626yd(パー71)
この男にはディボット跡すらも関係ないのか…。最終18番、スコッティ・シェフラーの1Wショットはフェアウェイ右サイドで少し沈んだ。ピンまでは残り165yd。アイアンがクリーンにボールをさらう。右3mにピタリとつく一打に総立ちのギャラリーが拍手を送った。
美しいバーディフィニッシュも、圧巻だった幕引きの1シーンに過ぎない。5位でムービングデーに出たシェフラーのショーは14番で始まった。304ydと距離の短いパー4の第1打、左サイドにひろがる池を恐れず5Wでドローボールを放ち、ピンそば60㎝に1オンさせてイーグル。続く15番(パー5)も軽々バーディにした。
終盤の難関3ホール、グリーンマイルの入り口・16番の2打目を「きょうのベストショットのひとつ」と胸を張る。打ち下ろしを含めて192ydを7Iで放ちピン左手前をとらえた。6mのチャンスを外したリベンジは次の17番(パー3)、5mを流し込んでバーディを奪い、上がり2ホールで立て続けにガッツポーズ。「65」で通算11アンダー、後続に3打差をつけて首位に立った。
昨年までPGAツアー「ウェルズファーゴ選手権」(現トゥルーイスト選手権)を開催してきたクエイルホロークラブ。シェフラーは同大会への出場経験がなく、前回当地で行われた2017年の全米プロも出ていない。22年の米国選抜と世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」で経験しているとはいえ、それでも他のトップ選手に比べて乏しいコース知識は技術とメンタルでカバー。「目の前のショットに可能な限り集中しようと考えている。自分にはコントロールできないことがある。他の選手がやること、突風、ボールのグリーンでのはね方…。自分にコントロールできることは自分のショットだけだ」と語った。
54ホールを終えて首位で終えた試合は過去に15回。そのうち9回で勝った。昨年までに2勝した「マスターズ」以来のメジャー制覇へ。「ゴルフは力ずくでどうにかなるものではない。サッカーやバスケットボールなら、アドレナリンで相手を跳ね返したりして、勝てることもあるかもしれない。ゴルフのスコアはそうはいかず、後から付いてくるようなもの。特にコース上で72ホール戦うとなると、他のスポーツよりもずっとガマンが必要だと思う」。世界ランク1位のカウントダウンが始まった。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)