2024年 米国男子ツアー賞金ランキング
2024年 ツアー選手権
期間:08/29〜09/01 場所:イーストレイクGC(ジョージア州)
賞金ランクは自己最高3位 松山英樹は最終戦カムバックに自信の一年
◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 最終日(1日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7490yd(パー71)
1年前の夏、松山英樹はPGAツアーに本格参戦した2014年以降初めてプレーオフシリーズの最終戦「ツアー選手権」出場を逃した。年間ポイントレース(フェデックスカップ)で50位。トップ30の進出圏に遠く及ばず、継続中の選手で最長だった連続出場記録を9年でストップさせ、シリーズを終えた。秋の「ZOZOチャンピオンシップ」で51位、日本ツアー「ダンロップフェニックス」も10位と振るわなかった。
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迎えた2024年も滑り出し好調とは言えなかった。「良い部分と悪い部分がかけ離れていた」開幕5戦でトップ10はゼロ。もどかしい試合の連続による苦しみは、ロサンゼルス近郊のリビエラCCで行われた2月「ジェネシス招待」で突如として報われた。
首位に6打差7位から出た最終日に「62」をたたき出し、後続に3打差をつける逆転勝利。2022年1月「ソニーオープンinハワイ」以来2年ぶり、チェ・キョンジュ(韓国)と並んでいたアジア出身選手としてのツアー最多勝利数を更新する通算9勝目を飾った。
ツアーの精鋭が少人数で競い、賞金も、フェデックスカップポイントも高い昇格大会(シグニチャーイベント)を制したことで、松山には「ツアー選手権」への再出場が視界に入った。「(カムバックに)もっとかかるかもしれない、と思う部分もありました。それがリビエラで勝って気持ちが楽になったというか。その後もトップ10に2、3回と入れたから」
黒宮幹仁コーチ、須崎雄矢トレーナーがサポートスタッフに加わった新体制の2年目。スイング面でも、肉体面でも新しい試行錯誤を続けながら、直前までの目先の結果に惑わされず「やるべきこと」を突き進めてきた。「自信が戻った。結果がこんなに大事とは」。中盤戦は3月「プレーヤーズ選手権」で6位、「メモリアルトーナメント」8位、メジャー第3戦「全米オープン」6位とビッグトーナメントでも上位へ。昨季わずか2回と、キャリアで最も少なかった年間のトップ10入りは今季7回に増えた。
年 度 | 出場 | 優勝 | 2位 | TOP10 | TOP25 | 予落 | 棄権 | 賞金($) | FedEXCup | PO前 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2024 | 19 | 2 | 7 | 11 | 1 | 1 | 11,237,611 | 9 | 8 | |
22-23 | 26 | 2 | 11 | 4 | 2 | 3,874,772 | 50 | 57 | ||
21-22 | 21 | 2 | 6 | 10 | 1 | 2 | 5,776,298 | 11 | 11 | |
20-21 | 27 | 1 | 2 | 3 | 10 | 4 | 1 | 4,963,594 | 26 | 14 |
19-20 | 20 | 1 | 5 | 14 | 3 | 3,665,825 | 15 | 18 | ||
18-19 | 24 | 7 | 15 | 2 | 3,335,137 | 9 | 30 | |||
17-18 | 21 | 4 | 12 | 2 | 1 | 2,687,477 | 13 | 76 | ||
16-17 | 22 | 3 | 3 | 7 | 12 | 2 | 8,380,569 | 8 | 1 | |
15-16 | 23 | 1 | 8 | 14 | 5 | 2 | 4,193,954 | 13 | 12 | |
14-15 | 25 | 1 | 9 | 19 | 2 | 3,758,619 | 16 | 20 | ||
13-14 | 24 | 1 | 4 | 12 | 3 | 2 | 2,837,477 | 28 | 22 |
昨年、突然の棄権や欠場の原因になった首や腰の痛みが少しずつ改善されたこともあり、力強さも戻ってきた。ツアーがシリーズ最終戦までに集計したデータで、試合中のクラブヘッドスピードは115.8mph(全体87位)。昨年の114.4mph(111位)からアップし、「マスターズ」を制した2020―21年シーズンの115.7mph(77位)を超えている。
毎年台頭する若手に、飛距離で劣るケースが確かに増えてきた半面、巧みなウェッジワークによる危険回避の力はツアー随一と言える。スコアに対するグリーン周りのプレーの貢献度を示すストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン部門で、ここまで全体1位(+0.618)を記録。パーオン失敗ホールをパー以下で上がるスクランブリング率では2位(67.93%)にランクされた。
ウィークポイントに挙がるグリーン上のプレー、ストローク・ゲインド・パッティングは「-0.082」で110位と低迷から抜け出せずにいるが、本人の手応えは小さくない。「数字に表れていない部分で良いところも出てきた。セントジュード(選手権)や、今週も良いパットも入っていた。徐々に変わってきていると思う」。今季優勝したジェネシス招待も、2週前の「フェデックスセントジュード選手権」も、むしろパッティングがさえわたったゲームだった。
年間獲得賞金は自己最高の1123万7611ドル(16億4069万円)で3位、最終戦の結果によるフェデックスカップボーナスで160万8333ドル(約2億3481万円)も獲得した。ビッグマネー以上に、つかんだものもある。「1つの目標が達成できたというか。『ことし勝つ』と決めて、本当に勝てたことがうれしかった。(年間王者になる)チャンスがある位置でツアチャン(ツアー選手権)に戻ってこられたのは、すごく大きいことだったと思う」
思えば、2月「ファーマーズインシュランスオープン」では米国で初めてホールインワンを達成。プレーオフシリーズで初めて勝ち、通算10勝目を飾った。そして、一時帰国する手荷物の中には「パリ五輪」の銅メダルもある。ツアー11年目、32歳にしてまだ新しい景色を見ることができた。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)