PGAツアーのBS放送はBSジャパネクストで無料中継になる

ロリー・マキロイ（北アイルランド）、松山英樹らの主戦場であるPGAツアーのBS放送が2023年にリニューアルされる。1992年1月から中継してきたNHKから、放送のバトンを受け取ったのは開局から1年と経たない無料のBS放送局「BSJapanext」（ビーエスジャパネクスト／BS263）。新進気鋭の放送局トップの胸は高鳴る。

2022年8月、株式会社ジャパネットブロードキャスティング（東京都中央区）の社長執行役員に就任した佐藤崇充氏は、1989年2月生まれの33歳。2011年に株式会社ジャパネットたかたに新入社員として入社して以降、テレビの中からお茶の間に商品を紹介する番組MCを務めていた。その後、商品のバイヤーなどを歴任するが、「最後のMC出演時に、（創業者の）高田明（※注：高ははしごだか）と一緒にゴルフクラブを販売しました」というから、これも何かの縁かもしれない。

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PGAツアーの2022－23年シーズンは9月に開幕。年明け初戦の「セントリートーナメントofチャンピオンズ」から同局が無料中継を開始する（後半2日間）。「PGAツアーにはブランドがあり、NHKさんが31年間放送されてきたものを私たちが受け継ぐことにもちろん不安もありますが、無料で観られる環境があることを喜んでくださる方の声をうれしく思います。ゴルフファンにPGAツアーをお届けできることへの楽しみがすごくあります」

佐藤崇充社長執行役員(株式会社ジャパネットブロードキャスティング提供)

開局は2022年3月27日。そもそも通信販売大手として認知される“ジャパネット”があらゆる番組の放送事業に携わることは、佐藤社長も入社直後は「想像もできなかった」という。「ですが、『見つけて、磨いて、伝える』という3つの言葉をとにかく愚直に、突き詰めてやってきたのが、ジャパネットたかた。放送事業も一緒で、世の中にまだ知られていないものを伝えていく。地域創生を大切にして、地域で生まれた歴史や良いものを番組で見つけ、磨いて、伝えていく。通販事業と放送事業は、コンセプト自体は一緒なのです」

2017年にはジャパネットホールディングスがJリーグのV・ファーレン長崎を子会社化。Bリーグ・長崎ヴェルカに資本を投じ、長崎駅近くでは長崎スタジアムシティプロジェクトを着々と進行させるなど、プロスポーツ事業ではすでに実績がある。ゴルフ中継についても今回に先んじて、今年は「アース・モンダミンカップ」、「楽天スーパーレディース」といった国内女子ツアーでも指折りの大会を放送した。

同局の全番組のうち、グループの“原点”とも言える通販番組は「3割を超えてはいけない」という。“7割”の中で、ゴルフ番組は「今後さらにコンテンツを増やしたいと考えている」部門のひとつ。開局直後の4月から『蛍原徹の真剣ゴルフ部！ホトオープン』の放送を開始。今後は女子プロ同士の対決要素を含んだ番組『GOLF JOKER』も元日に放送がスタートする。PGAツアーの中継は目玉になるもの。さらに通常、月曜日の午前中に中継が終了し、同日夜にはハイライト番組と大会が行われる地域の情報を盛り込んだ特別番組を放送予定。「試合の様子だけでなくPGAツアーの良さを伝えられるような番組にしたい。PGAツアーのコンテンツのためだけに長い時間を取る編成は、他局ではなかなか難しいのでは」と自信を見せる。

スマホでBSJapanextを見る様子

エンジョイゴルファーである佐藤社長が初めてツアーの会場を訪れたのは2015年。ゴルフ好きの同僚に連れられて行った長崎・パサージュ琴海アイランドGCでの「日本女子プロゴルフ選手権」だった。「やっぱりプロのプレーはすごい。それだけでも価値があると感じた」。制作・編成をリードする立場として、特にスポーツ番組には真剣勝負の要素が欠かせないと考える。

「蛍原徹さんのゴルフ番組も、プロと対決する真剣勝負を大切にしています。勝敗という部分は私たちの意思が働かないところなので難しいのですが、V・ファーレン長崎のレギュラー番組は、ファンの方に“うそ偽りないリアル”を届けることを大事にしようというのが合言葉のようになっています。負けが続くとファンも選手もフラストレーションが溜まる。そこで株式会社ジャパネットホールディングス代表取締役社長兼CEOの高田旭人のアイデアで、スタジアムや練習場に来ているファンの方のメッセージを集めて番組にした。厳しい意見もありますが、それを全部選手にも見てもらって。逆に次の回では監督や選手が『今はこういう取り組みをしている』と語ってもらう。番組がファンとチームとの交流の場のようになりました」

無論、真剣勝負が繰り広げられるPGAツアーの放送でも、より“リアル”を大切にするつもり。中継解説や、夜のハイライト番組にはNHKでも解説を務めていた評論家の佐渡充高氏を迎え、さらに大物プロの出演も続々と予定している。「解説も本音で語られるという部分は大事にしたい」。公式アプリ「つながるジャパネット」での同時無料配信への期待も大きい。

今年1月にアジア勢として最多タイの通算8勝目を挙げた松山英樹もコンテンツの核のひとつ。「日本人選手の海外での活躍を応援したくなる心情があるのは絶対。野球やサッカーに比べても、ゴルファーが海外で活躍してきた歴史は長いと思うのですが、ずっと名を馳せることが難しい。その奥深さはゴルフのひとつの魅力。注目度は活躍に応じてどうしても変わるものですが、期待したいですし、放送を通じてその頑張りをお届けすることは一つの使命であり、しっかりやりたいと思います」

（編集部・桂川洋一）

BSJapanext公式アプリ「つながるジャパネット」
iPhone、iPad(https://apps.apple.com/jp/app/japanettotakata/id738391250?l=ja&ls=1)
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