祝勝会の後は寝ずに移動 吉田優利「もうちょっと急ぎます」
◇米国女子◇メイバンク選手権 事前情報(27日)◇クアラルンプールG&CC(マレーシア)◇6536yd(パー72)
初優勝を挙げた夜、吉田優利は海沿いのコース近くのホテルから街に繰り出した。米女子ツアーで一緒にプレーする日本人選手と連れ立って地元のレストランへ。「みんなでお酒を飲んで、すごく楽しい会にしてくれた。いい気分で過ごせました」。祝勝会さながらのディナーを心から喜んだ。
余韻に長く浸れないのが、この世界最高峰のツアーを戦うプロの宿命でもある。多くの選手は次の日の早朝には宿舎を出て、約5時間のバス移動でソウルへ。吉田は大型ハイヤーで寝ずに釜山に向かい、シンガポール経由でマレーシア・クアラルンプールに飛んできた。過去に4度、味わった日本ツアーで勝った直後の心境とは違う。「アメリカツアーってすごいですよね」と思わず苦笑いがこぼれる。
次の試合の開幕を控えた会場で「おめでとう」「ありがとう」のやり取りを軽快にかわしながら、頭の中は「今週、どうしようって感じです」とコース攻略のことでもういっぱいだ。「去年プレーしたとき、ショットで結構ダフったんですよね。(他の選手と)そういう話をしたのを思い出した。先週とは芝も、感じも全然違う。先週のようにはいかないだろうな…と思っています」と意識せずとも、気持ちは自然と切り替わる。
なんだかせわしないのは、性格のせいもあるかもしれない。「私は『1分』を『58秒』で生きている」と自ら言うほど、いつも一歩先を見ていたい。「“同時進行”が大好き。一つひとつしかできない(タスクを処理できない)ときは結構、精神的にキツイんですよ」。スマートフォンにとめどなく届く祝福メッセージにも、移動中にあらかた返信してきた。
開幕2日前の練習ラウンドは雷雲が接近したため、中断を強いられた。「これからスケジュールをどうしようみたいな頭が働いている。前夜祭もあるし、トレーニングもしなきゃいけないし、ケアにも行かなきゃいけないし」と行動計画を慌ただしく練る。
その先にあるのは次の一勝。「いっそう引き締まるというか、『ここからだな』と思います。アメリカでも勝ちたいし、今年はもう上を見るだけ。行けるところまで行きたい」と残すところ4試合になったシーズンの終わりに視線を送った。「もうちょっと急ぎます。(1分を生きるのを58秒から)57秒にしたいくらい」。ブレーキを踏むつもりは、まだなさそう。(マレーシア・クアラルンプール/桂川洋一)