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「スタート時間を間違えて…」 稲見萌寧は米国初“ハプニング”も充実のデビュー戦

◇米国女子◇ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ 最終日(21日)◇レイクノナG&CC (フロリダ州)◇6608yd(パー72)

最終日、稲見萌寧は午前8時13分に10番からティオフ予定となっていた。「でも、時間をちょっと間違えてて…」。情報の行き違いがあり、最初は8時30分、この日の朝も同46分スタートだと思っていたという。

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“正解”を知って「ショット練習しなきゃヤバい」と思った時には、本来直前に行うパター練習のルーティンに入っていなければいけない時間。アイアンと1Wの確認だけ手短に済ませると、ドライビングレンジから10番ティへダッシュした。

フロリダでは珍しいほど下がっていた気温は、ウォーミングアップもままならなかった稲見を直撃。「私、すごい冷え性なので。朝は右手の感覚が全くなくて。もう、クラブが飛んでいくじゃないかっていう感じで…」。練習場からティイングエリアまで走ったのも、少しでも体を温めるためだった。

序盤、ショートゲームでピンチをしのいだ後も試練は続く。「きょうはグリーンスピードがすごく上がっていた。でも、朝のパッティング練習ができていなかったので、結構いいパットをしたと思っても2メートルくらい行ってしまったり…」。その返しを何度も沈めた結果のイーブンパー「72」に胸をなで下ろす。

米ツアーの“本格デビュー戦”を通算イーブンパー19位で終えた。4日間のフェアウェイキープ率87.5%(49/56)を記録したティショットの安定感は、今後タイトなコースの戦いでこそさらに生きそう。7Iでピンに絡めた前半17番(パー3)のように、代名詞のアイアンがさく裂するシーンもあった。

何より、「本当に楽しかった」ことが大きい。ミスが出ても、キャディと「こんなことある?」と言い合ってなぜかテンションを上げ、新天地で起きる全てを受け入れていこうとするポジティブさ。翌日のスタート時間が日本ツアーほどスムーズに出てこないことで生じた朝の勘違いは「逆に、やっと海外の戸惑い、ハプニングを味わったかな」と笑い飛ばした。

技術的な試行錯誤も、未知なる環境への適応も、自分を高めるためならイヤじゃない。(フロリダ州オーランド/亀山泰宏)

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