メジャー史に残る下剋上 世界304位が起こした“奇跡”の勝利
2020年 AIG女子オープン(全英女子)
期間:08/20〜08/23 場所:ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)
5年じゃなく2年、ANA出られず…全英女王の扱いに男子選手から異論噴出
前週の今季メジャー初戦「AIG女子オープン」(全英女子オープン)を制したソフィア・ポポフ(ドイツ)。ライム病との闘いに苦しみながら、世界ランキング304位で頂点に立ったストーリーはメジャーの歴史に残る下剋上として脚光を浴びた。
昨年大会覇者の渋野日向子に続くシンデレラとなったポポフの周囲が騒がしい。米女子下部シメトラツアーを主戦場とし、米女子(LPGA)ツアーメンバーではないポポフの優勝によって得られる資格について、欧州の男子選手から批判も出ているためだ。
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メジャー優勝なら本来は5年シードも、ポポフはノンメンバーのため2021年までの2年間。昨年全英女子を勝った渋野もLPGA参戦を選択すれば同様の扱いとなっていた。15年「全米女子オープン」のチョン・インジ、14年「エビアン選手権」のキム・ヒョージュといったスポット参戦でメジャーを制覇した韓国勢も2年シードだった。
メジャーの出場資格も波紋を呼んでいる。全英女子は60歳まで、ほかのメジャー4大会についても5年間の出場権が与えられるが、「KPMG女子PGA選手権」を除いて21年大会からの適用。コロナ禍で大会が延期された9月「ANAインスピレーション」と12月「全米女子オープン」は現時点で出場資格がない。
米Golf.comによると、LPGAから説明を受けたポポフは「5年シードに値すると感じているので残念だけど、特定の選手のためにルールを変更できないことも理解している」とコメントした。
一方で納得できないとして真っ先に声を上げたのが、イアン・ポールターとトミー・フリートウッド(ともにイングランド)。ポールターはツイッターで「LPGAの対応は恥ずべきこと。ゴルフ界における史上最高のストーリーは、数日のうちに最悪の物語になった」と非難。フリートウッドも「ゴルファーなら、誰もがメジャーで勝つことを夢見る。LPGAのルールは控えめに言って愚かだ」とSNSにつづった。
LPGAのコミッショナー、マイク・ワン氏は動画で声明を発表。「私の意見に賛成できなくても仕方ない。だが、すでに決まっている出場資格を後になって見直すことはない」とした。男子では11月に延期された「マスターズ」も本来の4月の日程に合わせて出場選手を決定。その後、新たに資格を満たした選手は2021年大会に出場できることになっている。