小田龍一の戦績・プロフィールなど
ツアーきっての酒豪! 好スタートの秘訣は魔法の呪文
これで、いったんは堂々と帰郷が出来る。ジャパンゴルフツアーは先月、開幕したばかりだが、今週は1週間のオープンウィーク。「今年はさっそく胸を張って、鹿児島に帰れる」とは小田龍一。開幕から2戦で2位、3位と好調だ。
「僕にはありえないほど最高の出だしです」。昨年は、2戦目から4試合連続で予選落ちを喫しているので、なおさら喜びもデカイ。要因は、オフの池田学校。“先生”と仰ぐ9つ下の池田勇太のアドバイスを受けたのと、あともうひとつある。開幕直前に、地元のファンにこう言って送り出された。「今年は“あおいくま”の精神で頑張って!」。
<< 下に続く >>
「あおいくま・・・ですか?」。
5つの心構えの頭文字をもじった魔法の言葉だ。「焦るな、怒るな、いばるな、くさるな、負けるな」。「なるほど」と、さっそく今年のテーマに据えた。
それが、実は物まねタレントのコロッケさんの家で代々伝わる家訓と知ったのは、ツアーも始まってから。「僕もミスショットをしたあとなどに、心の中で言うと落ち着きます」と、いまツアーで流行りのダイエットと無縁の小田は、かく言う本人の体型もクマさんみたい。結婚してからは、しっかりものの優子夫人の管理が良くて、少しは量が減ったとはいうが、オフも時間さえあれば大好きな焼酎で「ウィ~っ」と、いい調子になる。
ツアーきっての酒豪は、酒席での失態もちょこちょこ。酔っ払って、大先輩のプロを呼び捨てにして絡んで、あとで青ざめたこともたびたび。だから「あおいくまの“あ”は酒を飲んでも”暴れない”の“あ”かも」と、優子さんに笑われながらも、良い抑止力になっている。
酒を飲めば大胆な男も、かつて日韓戦で代表に選ばれたときに、キャプテンの青木功から「気が弱い男だから」と言われたとおり、プロゴルファーのくせに人前に出ることが大の苦手で、いつも心なしか青ざめた顔でプレーをしていることが多い。剛胆と繊細の両極端の素顔を合わせ持つ、個性派の中堅プロだ。
日本オープンであの石川遼とのプレーオフを制してツアー初優勝を飾ったのは2009年。「今年はこれでもう十分頑張りました」と、夫婦揃って安心するのはまだ早い。「あおいくま」の「ま」は「負けない」の「ま」。弱気の虫がうずく時こそ魔法の呪文を合い言葉に、今年こそビッグタイトルに続く悲願のツアー2勝目を狙っていく。