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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちの貴重な経験<平塚哲二&谷原秀人>

2006/12/18 09:00

平塚哲二谷原秀人が日本代表として挑んだ今年のワールドカップ。開催地のバルバドスは、カリブ海に浮かぶ島。日本から丸1日かけて、ようやくたどり着くなりハプニングに巻き込まれたのはほかでもない。今回、選手に同行した日本ゴルフツアー機構の某スタッフだった。

空港のどこを探しても、スーツケースが見当たらない。すぐにカウンターで捜索してもらったが「どこでどうなったかも分からない状態だ」と言われて途方に暮れてしまった。衣類や着替えはもちろん、撮影用のカメラまで入れてあったのだ。

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手ぶらのまま宿泊先に向かうしかなく、翌日の練習日も着の身着のままで現れたスタッフに、真っ先に声をかけてくれたのが、日本代表ペアだった。

谷原が言う。「僕のTシャツ、使ってください!」。平塚も、ゴソゴソとカバンからズボンを取り出し「中古やけど洗濯はしてあるから。サイズもちょうどと違うかな?」。着替え用に使ってと、次々と衣類を差し出す2人。

「朝は、挨拶代わりに毎日必ず『荷物、出てきた?』と聞いてくれて。選手の優しさが身に染みた」と、振り返ったスタッフ。選手を支える立場が、逆に選手に支えられて恐縮しきりだ。

結局、最後までスーツケースは見つからないまま、とうとう最終日にはクリーニングに出していた衣類までもが無くなった。彼らからもらった貴重な服。確かに前夜、フロントに出したはずなのに、ホテルに問い合わせても「ランドリーは外注だから、私たちは知らない。受け取っていない」の一点張り。

まるで、呪われたように続く紛失騒動に、とうとうスタッフも堪忍袋の尾が切れたが、怒りをぶつける先もない。

谷原が、さらにポロシャツと靴下を分けてくれたが、その日はあいにくの大雨。そのせいで競技は一時中断されて、フライト時間ギリギリにずぶ濡れのまま飛行機に飛び乗るしかなかったのだった。

実は期間中、平塚も日本から送っていた荷物が届かなかった。今年、国内外で大活躍だったインドのジーブ・ミルカ・シンも折に触れて言ったように、「日本は世界一便利な国」ということを、再認識させられたワールドカップになったようだ。

ジーブが、こうも言っていた。
「宅急便の制度がこれだけ整っているのは日本だけ。こんなに親切な人が集まっている国もほかにはないよ」。世界を飛び回ってきた選手が言うからこそ、説得力がある。

今回は残念ながらブービーの23位に終わった日本チームだが、この貴重な経験を生かして、来年はさらなる飛躍の年にしてほしいものだ。

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